交野自立センター労働組合(以下、交野自立労組)は、障害があり支援が必要な人に、就労や自立をするための訓練を行う、大阪府肢体不自由者協会・交野自立センター、交野自立センター通所部、相談支援センターかたの、大肢協交野ヘルプサービス、大肢協コミュニティホームズ交野、障害者相談支援センターかたので組織された、60人の組合です。
「その人の人生を左右させる責任のある仕事なんです」と語るのは、交野自立労組の中本達也執行委員長。
同施設では就労支援などをはじめとした、障害を持つ方への自立をサポートすることが主な業務となっています。現在、80人を超える人が在籍しており、うち20人は寮生活をしています。入寮している人は、さまざまな事情を抱えており、将来、グループホームや一人で生活できるよう、日々トレーニングを行っています。
ここでは2011年4月より、「おり姫ベーカリー」を立ち上げ、パンを焼き、販売する作業を行っています。現在、この作業が利用者の工賃を支える大きな柱となっています。できあがったパンは、市役所、公共施設、学校、老人ホームなどで販売されています。
パン事業に乗り出したのは、基幹となる大きな仕事がなくなったのが始まりです。新たなパン焼成事業を立ち上げるにあたり、大手パンメーカーの山崎製パン株式会社の協力を得ることができました。まったく初心者の職員は1週間の研修を受け、利用者と一緒にパンを焼くことができました。当時を振り返り中本さんは「(研修は)本当にきつかったですよ」と笑顔で語りました。現在では事業も軌道に乗り、1日に1000個近い数を作る日もあります。しかしパンの売上は思うように上がらず、「販路の拡大と新たな作業種目の開拓が急務」としています。
すべては利用者のため
組合員全員の努力で発展めざす
同センターでは、軽作業も行っています。利用者には出勤率や作業能力などに応じて工賃を支給しています。中本さんは「大阪府は全国に比べ、工賃が低い。自立センターもまだまだ低い状況」と述べ、これを少しでも引き上げていくことが大きな課題と認識しています。
利用者は就職や生活の場が見つかれば施設を退所します。中には就職したものの離職してしまう人も。同センターでは、悩んだり困ったりしたときに相談ができるように訓練を重ねています。中本さんは「たとえ障害を抱えていても、社会に出ると一人の大人として扱われることが多い」と述べ、困難に対処できる力を身につけられるよう、日々支援を行っています。
業務では大変なこともたくさんあるが、「すべては利用者のため」と組合員全員でがんばっている。交野自立労組では、組合員の離職がとても少ない。中本さんは「大変だからこそ、快適な職場にするために経営側と熱い激論を交わしている」と述べました。先般の団体交渉では組合員の団結で、非常勤職員から正規職員への転換を勝ち取っています。
中本さんはサービス管理責任者として後輩への指導にも熱心です。資格取得に向けて自己研鑚にも努めています。中本さんは最後に「(センターには)組合が必要です。組合を発展させることで、利用者さんの権利を守り成長につなげていくことができる」と力強く語りました。