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更新日:2012年8月3日
自治労大阪府本部第15回自治研集会報告 その6
地方自治のあり方を見つめ直すことをテーマに自治労大阪は2012年5月18~20日、大阪市内で大阪地方自治研究集会を開きました。これまで、5月19、20日の各種分科会で深められた議論を振り返り、内容を深めるため分科会の報告を連載しています。今回は第6回目として、社会保障・税一体改革が自治体行政に与える影響などをテーマにした分科会での議論を紹介します。
5月20日に大阪市内で開かれた大阪地方自治研究集会の分科会の内、「社会保障・税一体改革の展望」をテーマにした分科会には、府内16単組から32人が参加し、活発な議論が行われました。分科会では、これまでの社会保障制度と、改革で実施される制度との違い、内包する課題など多岐に渡って議論されました。
これまでの社会保障制度は、高齢者や障害者などを中心とした制度であり、今回の改革では子ども・子育てを加えた「全世代対応型」の社会保障制度の構築をめざしています。雇用の創出に関しても、従来の公共事業分野から医療・介護・子育てなどの社会保障分野に転換したことにより一歩踏み込んだものとなっています。その財源として、消費税率5%を引き上げ、概算で約13.5兆円の増収が見込まれていますが、従来の社会保障の現状維持に4%程度、新たな社会保障の充実のためには1%程度とされており、本当に新たな雇用創出に繋がるのかは疑問が残る形となっています。
消費税率が2014年4月から8%、2015年10月から10%へと段階的に引き上げられることに伴い、地方消費税率も段階的に1.7%、2.2%に引き上げられ、地方自治体にとっても、2015年には1.2%の増税分の3兆円が増収となります。この3兆円は都道府県と市町村とにそれぞれ1.5兆円ずつ配分され、この使途として全額が社会保障財源に充当することとなっています。
地方自治体の課題としては、地方消費税の増税により、地域住民から自分たちに提供される行政サービスの内容・水準のあり方等に対する厳しい批判が予想されます。その結果、地方議会等を含めて増税分の使途について住民に対して納得いく説明責任が問われることとなります。
また、社会保障を機能強化すれば費用が増加する可能性もあり、財政の健全化と社会保障の充実は同時に達成することは厳しいとの見方もあります。財政の健全化を図るには、さらなる消費税率の引き上げが必要となることから、今回の税率10%は通過点に過ぎないという可能性もあります。
税制改革の面では、所得税率も法人税率も現行のように低く抑えたうえで、消費税増税を実施するというように、所得税や法人税に関する言及が不十分で安定財源の確保と所得再配分もあいまいだという指摘もあります。また、税と社会保障が体系的に議論されていないという問題もあります。
抜本改革とは言いながら中途半端な改革に終わり、閉塞感が残るようではいけない、日本の社会保障全体の理念と構想、それに応じた税制改革を議論すべきで、日本の将来像を国民とともに考えるべき、などとした議論が活発に行われました。