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2008年5月30日

中国・黄土高原緑化協力事業
手応えを感じた緑化支援、子どもたちと心の交流を

 
寄贈したトラックの写真

寄贈したトラック

 自治労大阪から中国黄土高原緑化協力事業の第3期団20名が、2008年4月24日から28日にかけて、中国山西省大同市を訪問しました。この緑化協力事業は、大同市の農村に果樹園を造成し、環境改善と現地の経済的自立を目標としているものです。今回は、緑化協力事業とともに、自治労共済大阪府支部の設立5周年記念事業としてトラックの寄贈を行いました。

トラックを寄贈(自治労共済大阪府支部 設立5周年記念事業)

 中国黄土高原緑化協力事業 第3期団は、2008年4月27日、「かけはしの森」で自治労共済大阪府支部設立5周年記念事業としてのトラック贈呈を行いました。「かけはしの森」は、中国名を「チャオリャンリン」といって大同市から東へ約20キロの地点にあります。

 「かけはしの森」では、総勢50人以上の鑼鼓隊(らこたい)と呼ばれる、鮮やかな衣装をまとった銅鑼と太鼓で熱烈な歓迎を受けました。

 緑の地球ネットワーク大同事務所の武春珍 所長は、「トラックは、かけはしの森が発展するために大活躍してくれると思う。みなさんの支持をいただき、環境問題を世界レベルで取り組んでいることを感じている。これからも一本一本、責任を持って、植林していきたい」と述べられました。

熱烈な歓迎を受けました。

目標は農村の自立

 第3期団は、緑の地球ネットワークの苗実験施設、環境林センターを拠点として活動を行いました。遠田さん(※1)によると、最も苦労するのは、春の植え替えの時期だということです。天気図の提供がないため、気候の情報があまりにも少なく、暑くなるのか寒くなるのか、見極めがむずかしいのだそうです。植え替えのタイミングを逃すと今後の生育にも影響を及ぼしますが、勘に頼らざるを得ないと言うことでした。

 また遠田さんは、次のようにも話してくれました。
 「植林事業は、松などの針葉樹を引き続き植え、まだまだ発展していくが最終的には、果樹園などの自立した事業となり、こちらが手を加えなくても、スパイラル的に緑化が進み、農村が自立していけることが理想」

 自治労大阪としてどのように支援していくのか、現地の自立を重点に置きながら、今後の事業を展開していきます。

植林をしている写真 土を耕している写真

参加者のこえ

「『水』の大切さを痛感」  三谷洋司さん

 黄土高原緑化協力事業参加してまず、感じたことはバス移動で北京市内から大同市に向かう途中で、都会とのギャップのすごさに驚き、また格差の大きさを感じた。

 翌日の小学校訪問では、みなさんの歓迎に驚き、授業を受けている子どもたちの、ひたむきさに感心。

 環境林センター「かけはしの森」での作業で水の大切さと先生方の説明で植樹の重要性さなど、緑化事業の大切さを痛感した。また、采涼山プロジェクトの植林現場では、過酷な場所でも、樹木が育っているのに感心し、先生方や地元の人々の努力のおかげだと思うとともに、この作業を続けることの大変さを教えられた。

 わたしたちは植樹活動を通じて、砂漠化を防ぐためにも、これからもっとこういう活動を広めていくことが大切だと感じた。

「いくつかの体験を経て」 内藤誠二さん

 最後の午後、市内へ向かうバスからの情景を、とりわけよく覚えています。

 加速度に眩暈する都市・北京から、西へ370kmを隔てて対置している、遅延に眩暈する土地・黄土高原の姿。

 そこに暮らす人々の一様に振る手が、この移動が帰路であることを、もういちど認識させてくれていました。

 かつてその背景には、むきだしになってしまった広大な急迫を覆うように、見渡す限りの緑なす樹木が広がっていたわけですが、それらは時代精神とともに崩れ落ち渇ききった砂の器にその姿を変え、僕らに向けて振られる手の、その動きの軽快さと対照をなすように、愕然たる午後3時の光の中に横たわっていました。

「環境に配慮した生活を」 柴野裕也さん

 実際に黄土高原を訪れ、これまでの緑化事業により多少の緑が存在するが、ほとんどは茶色い高原が広がっていた。そして土はやせており、保水力がない。保水力がないと植物が育ちづらいという悪循環となっている。

 長年の事業の成果によって育っているアンズやマツなどの生命力の強さに感心するとともに、作業を通して植林の大切さを学んだ。

 今回、黄土高原緑化事業に参加し、とても貴重な経験をさせていただいた。水や森林などの資源を大切にしなければならないと痛感した。

 日本は豊かな生活を送っている。しかし、資源の無駄遣いをしていることも多いと思う。困ってからでは遅い。この事業を通して、環境に配慮したひとり一人の地道な取り組みが必要であると感じた。

(※1) 遠田 宏(とうだ ひろし)さん
緑の地球ネットワーク顧問。現在は、環境林センターで技術指導もされている。元東北大学教授。
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