大阪府知事、大阪市長の辞任と大阪ダブル選挙前倒し実施に関する自治労大阪府本部の見解を掲載します。
2019年3月8日
自治労大阪府本部
松井大阪府知事と吉村大阪市長は本日、法定協議会の行き詰まりを理由に辞職し、松井氏が大阪市長に吉村氏が大阪府知事に立候補することを表明しました。これにより秋に予定されていた大阪府知事と大阪市長の選挙(いわゆる「大阪ダブル選挙」)が前倒しされ、統一自治体選挙前半戦と同日の4月7日に執行されることが確実となりました。
松井知事、吉村市長は今回の辞職、ダブル選挙前倒しの理由を、大阪市を廃止し、特別区に分割する案(いわゆる「大阪都構想」)が思い通りに進捗しないため、大阪府民、大阪市民の判断を求めるとしています。しかし、大阪府民、大阪市民の判断は住民投票の実施が確定していた情勢下で執行された2015年4月の統一自治体選挙で大阪府議会、大阪市会において大阪維新の会に過半数の議席を与えなかったこと、加えて5月17日の住民投票で「都構想」を反対多数で否決したことにより既に示されています。
また両氏は2015年11月のダブル選挙で知事、市長に当選したことにより、「都構想」再挑戦の信託を得たと強弁しています。しかし選挙後「バージョンアップ」して再提案するとしていた都構想の制度設計案は、否決された案と大差ありません。根拠薄弱な「経済効果」の試算などで時間と経費を浪費するばかりで、結果としてどの政党の賛同も得られていません。これは制度設計案を作成する府市の行政のトップである両氏の責任です。これに不満なら目前に迫った統一自治体選挙で大阪維新の会単独で過半数の議席を獲得すればよく、ダブル選挙を同日に行う必要はありません。
また、松井氏が大阪市長に、吉村氏が大阪府知事に「差し替え」立候補することは、首長と議会の対立が深刻化したときに信を問う、いわゆる「出直し選挙」とは全く異なります。両氏は「出直し」なら半年後に再度選挙となり、税の無駄使いとして有権者の理解を得られないという理屈で正当化していますが、それなら任期いっぱい務めるべきです。「差し替え」は選挙後4年の任期を得るための「奇策」であり、毎日新聞は社説で「一種の脱法行為ではないか」と批判しています。こうした事例は、戦後地方自治史上例を見ず、まさに現行憲法が掲げる地方自治の本旨を逸脱するものです。いやしくも地方行政の長たる者は、法律の抜け道を見つけたからといって、何をやってもいいというものではありません。
以上から自治労大阪府本部は、今回の両氏の行為は大阪府民、大阪市民から信託された公職を任期途中で放棄するものであり、再び劇場型政治を演出することで政治的延命を画策する党利党略に基づく行為として、厳しく批判します。
あわせてこの暴挙により執行されるダブル選挙においては、「大阪都構想」といわゆる「維新政治」に反対する立場を貫き、立場を同じくする幅広い政治勢力の結集を支持し、連合大阪に結集して、その一員として全力を挙げることを表明します。地方自治を愚弄し破壊する勢力に対抗して幅広い結集がなされるのは、決して「野合」とは言わないことをあえて付け加えておきます。
以上