「核も戦争もない平和な21世紀に!」をスローガンに被爆80周年原水爆禁止世界大会広島大会が8月4日から6日まで、3日間の日程で開かれ全国から2200人が参加しました。世界では、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃、アメリカのトランプ政権によるイラン核施設等への攻撃など核保有国の軍事行動が核兵器使用の危機を高めています。
一方で長年にわたり被爆の実相を語ってきた日本被団協のノーベル平和賞受賞により核廃絶の機運を高めていくことが期待されています。被爆80年という節目の年を迎え、現世代の責任と次世代の継承を含め、これまでの運動に学びながら、今後いかに継続した運動につなげていくのか、大会では率直な討論が行われました。
初日の4日、核廃絶と平和を訴え平和公園から県立総合体育館まで「折鶴平和行進」を行った後、広島大会の開会総会が開かれました。主催者あいさつを行った大会共同実行委員長は、昨年12月に日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことにふれ、「広島、長崎の被爆の実相、そして被爆者の証言こそが唯一無二の核抑止の力だ」としながらも、被爆者の高齢化が進んでいることから「1人でも多くの被爆者の命があるうちに核兵器の廃絶を実現させなければならない」と述べました。
一方で、日本政府が核抑止に固執し、核兵器禁止条約を批准しないことについて、「核抑止論は核兵器使用を前提とするものであり、核戦争を防ぐことはできない」とし、「核兵器の存在そのものが核兵器使用の危機を作り出している」と核兵器廃絶の必要性をあらためて訴えました。また、日本被団協の代表委員による被爆者の訴え、高校生1万人署名活動実行委員会と広島で選出された第28代高校生平和大使の紹介、広島の高校生平和大使3人の決意表明、基調提起が行われました。
基調提起を行った大会事務局長は、「私たちは今を生きる現世代の責任を明確に語っていくことに勇気を持って取り組んでいきたい。その先に次世代の継承がある」とし、「原水禁運動に関わっていただく皆さんの裾野をより広げていくということが私たちの運動の方向性だ」と提起しました。
2日目は6つの「分科会」のほか、「ひろば」や「フィールドワーク」が実施され、各分科会では講師からの提起や各地からの報告を受け、活発な議論が行われました。フィールドワークでは戦争遺跡「大久野島」「安野発電所」を訪問し、参加者は戦争の実相の一端にふれることができた。最終日の6日には「被爆80周年原水爆禁止世界大会・広島大会」国際シンポジウムと「まとめ集会」が開かれ、約550人が参加した。「まとめ集会」では、広島大会を総括しつつ、「ヒロシマ・アピール」が採択されました。
原水禁世界大会は、広島、長崎の現地の対面で開催されます。それは参加者が8月6日、8月9日をどういう気持ちで迎えるかを経験することに大変重要な意味があると原水禁事務局は話します。国内においては武力の増強、核武装、核共有という主張を声高かにする人たちがいます。しかし、核兵器が存在する社会が安全安心な生活につながるとは考えられません。今回の広島大会には学生をはじめ多くの若い世代が参加をしてきました。
府本部は、こうした取り組みへの積極的な参加を通して、高校生平和大使や高校生1万人署名活動の皆さんをはじめとする若い世代の皆さんと共に、これからの社会のあり方を考えていく機会としたいとしています。