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北摂ブロック自治研究会“北摂はひとつ”の活動を追求 首長に求められるリーダーシップとは

北摂ブロック共闘会議は2月15日、大阪市内で自治研究会(府本部円卓会議)を開き、北摂各市町の首長および当局側の政策担当者、府本部四役と北摂ブロック役員、単組役員らあわせて41人が参加しました。

会議では、大阪大学の北村亘教授から、人口減少社会を見据えAIやRPAなど「新たなテクノロジー」の導入と活用、データにもとづく北摂各市町の位置づけと連携のあり方について提起を受けました。

北摂ブロック自治研究会の開催は2019年以来4年ぶり。今回は茨木、摂津、豊中、高槻、能勢、豊能、島本から首長が参加し、労使で自治体を取り巻く課題を共有するとともに、活発な意見交換を行いました。

連携の対象とは思われてない自治体とつながりを持った方がいいと話す北村教授

連携の対象とは思われてない自治体とつながりを持った方がいいと話す北村教授

主催者あいさつを行った議長は、自治労組織がない吹田市からは、市長の出席はかなわなかったが政策担当者2人が初めて出席したことにふれ、「北摂のなかまとして行政側、組合側、労使ともに“北摂はひとつ”として認識を共有するよい機会になれば」と抱負を述べました。

府本部を代表してあいさつを行った中野委員長は、持続的な賃上げにむけ「人への投資と適切な価格転嫁が必要」とし、公共サービスを担う人材の確保・定着のための処遇改善、委託業務などにおける労務費の適切な価格転嫁について、参加した首長にむけて対応を要請しました。

また、北摂市町会を代表してあいさつを行った長内豊中市長は、1990年代から続くデフレについてふれ、「切り詰める経営は新しい価値を生まない」とし、「人が提供するサービスに対価を払っていける価値観を持つことが必要。考え方、見方を変えていくいい機会だ」と会議における議論の豊富化に期待を述べました。

研究会では大阪大学大学院教授の北村亘さんによる「2040年問題と北摂の自治の展望~府内市町村の位置づけと連携の可能性~」をテーマとした講演がありました。

北村教授は、地方自治を取り巻く環境について、「少子高齢化の波が襲ってきている」とし、行政ニーズは増えているが、職員数は不足し、公共施設の老朽化も深刻な問題であることを指摘しました。

こうした課題への対応として「新たなテクノロジー」と呼ばれるAIやRPAなどのさまざまな導入事例の紹介がありました。しかし、そうした技術の導入に関して、完全に任せることができないこと、導入に伴う担当課の業務増の問題、経費の問題、そもそもどういうことができるのかわからないといった問題があり、導入には一定のハードルがあることも指摘しました。

また、データ分析をもとに府内43自治体の特徴を紹介し、主に北摂各市町の現状について「基本的に財政の富裕度は高いものの、職員の確保率が低い」とし、「ギリギリで仕事をこなしており、有事の際はまずいのでは」と指摘しました。

北村教授は新しいテクノロジーの導入や防災対策への自治体間連携もふくめて「行政職員にとって、短期的にはやりたくないけど、中長期的には必要ということへの決断はとても難しい」とし、「地方自治体において決断できるのは首長だけ」とリーダーシップの重要性について提起しました。

府本部は、個別的労使関係を超えた諸課題への包括的・政策的な協議のテーブルとして、こうした地域における首長との分権自治推進にむけた円卓会議を引き続き開催していくこととしています。