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ユニオンカレッジ第6講公務員労組の潜在的可能性とは 公共部門が労働運動の担い手に!

府本部は7月20日、ユニオンカレッジ第6講「公共サービス職場の非正規化と組合」をPLP会館で開き、各単組から受講生17人が参加しました。
公共部門ではサービスの拡大・多様化、各地で頻発する災害などへの対応に迫られる一方で、公共サービス労働者の人員不足が課題となっています。
女性が多数を占める非正規職員が正規職員の業務を担うことが恒常化している現状のなか、労働組合がかかわっていくべき課題について学びました。講師は桃山学院大学社会学部の萩原久美子教授が務めました。

講義の写真

第6講では公務員労組の可能性について学びました

国際的にみて日本の公務員は非常に少ないと指摘されています。OECD平均は17.91%、社会保障や社会サービスが充実しているといわれる北欧は27%以上、市場化が進み公共サービスが縮小されていると思われているアメリカでも14.91%のところ、日本は5.89%と圧倒的に少ない状況です。

また、公務員の女性割合では、北欧が7割程度、アメリカは6割弱です。OECD平均でも6割弱ですが、日本は43%です。統計からも、安定した賃金が保障される公共部門に女性が働いている国がジェンダー平等を推進しているといえる実態があります。

このように女性の社会進出の受け皿が公共部門であることが安定した社会を築くとされています。日本では1970年代以降、公務員定数抑制・削減が進み、共働き公務員の女性が排除されるなど、自治体が民間に先んじて女性雇用を確保するという雇用者責務を果たすことに消極的でした。

さらに公務員定数は1994年の328万人をピークに、医療・介護・保育・技能労務等に代表される直営業務が外部化・市場化され続け、自治体では非正規化が進みました。そして、その多数が女性であることで正規公務員は男女とも特権を享受しているかのような逆転現象が起きています。

萩原教授は、府本部の組織状況について、臨時非常勤等職員を含む混合単組が4割、非正規単独単組が3割であることから「全国的にも割合は高く、大阪では非正規を組織化しようという動きがあることが見て取れる」と分析しました。

そして、「日本の公務員労組には潜在的可能性があり、ここで踏ん張らなければならない」とし、「本来業務である公共サービスと、安定雇用を後ろ盾にした利害関係のない社会サービスの構築と地域連携、自らの雇用を守ることが地域の雇用を守ることであるという戦略を持つことが大切」とこれからの活動へのアドバイスがありました。

さらに、公共サービスの脆弱性を克服するために「労働組合に結集し、公共サービスのあり方を変えていくことが、民主主義が守られジェンダー平等が進む道筋になる。困難な道ではあるが、この可能性を提示したい」と力強い言葉で講演を締めくくりました

これからもユニオンカレッジでは、自分たち自身が働きやすい環境を実現するため、労働組合が果たす意義や役割について理解を深める場としていきます。第7講は、8月3日「労働安全衛生」を開講します。