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第22回大阪地方自治研究集会大都市の方向性について考える

府本部と大阪地方自治研究センターは、第22回大阪地方自治研究集会のキックオフとして1月28日に開いた特別分科会に続き、2月11日~12日にかけて4つの分科会を大阪市内で開きました。2日間の分科会では、人口減少社会における大都市や市町村の課題、公共サービス職場の非常勤職員化、交通政策とまちづくりなどについて熱心な議論が行われました。初日の第1分科会では、大阪を中心にこれからの大都市の役割と課題について学びました。各単組から79人の組合員が参加し、オンラインでも多くの組合員が視聴しました。なお、特別分科会および第1・2・3分科会は2月末までYouTubeで組合員むけに限定配信を行っています。

会場の様子

これからの10年は落ち着いて議論をしてほしいと話す北村教授

社会経済環境の変化をふまえた議論を

第1分科会講師の大阪大学の北村亘教授は、地方自治の必要性と地方自治の性質、日本の大都市制度について紹介し、課題や問題点をとおして考えなければならないことを丁寧に解説しました。

まず地方自治には「負の側面」があるとし、「地方自治体に仕事を任せれば任せるほど、開発ばかりやって福祉をやらなくなる」という『福祉の磁石』効果について具体例を挙げ説明しました。

日本でもタワーマンションなどそこだけで完結した社会ができている現状を述べ、「地方自治は、富裕層だけが自己利益のみを追求することが、実は可能なシステムになっている」と指摘しました。

一方で日本の政令指定都市制度についても言及し、「地方自治法では申請をした人口50万人以上の市としか書いていない」とし、大合併したら権限が与えられる現状を述べ、「全国経済を牽引する拠点かどうかという議論はない。妥協の産物だ」とその問題点を指摘しました。

最後に「大阪の解剖」ということで、情報通信の拠点があったり、国の出先機関があったりという「中枢性」や、人や物、サービスなどを他の市町村に提供できる「能力供給性」を分析することによって、大阪市の政令市における位置づけ、府内43市町村の位置づけ、大阪市24区の特性などを紹介しました。

大阪市については、中枢性が突出して高く、能力供給性が近年高くなっていること。府内は主として北摂を中心に中核市の持続可能性が高いことなどを紹介しました。

そうした分析をふまえ「これからの10年は、基本的にはデータをもとにして、慌てず、でも着実に大都市の制度設計を検討していくことが必要。さらに市長たちの政治的行動も重要」とまとめました。

会場からは、公共サービスに対するニーズの多様化・複雑化への対応と周辺自治体との連携における大都市の役割、今後の大阪市のあり方に関する総合計画、いわゆるマスタープラン策定にむけた世論喚起方法についての質問がありました。

北村教授は、ニーズの複雑化に対して公共部門への投資不足をあげ、国民・市民への訴えが必要なことを述べるとともに、人口減少に対応した広域連携の枠組みの必要性を述べました。

また、大阪におけるマスタープランの欠如は「致命的」とし、「これからの社会経済環境をふまえた議論が必要であり、政治家が公約として掲げる政策に一定枠をはめるという作業が必要」と参加者に呼びかけ講演を終えました。