府本部は大阪地方自治研究センターと共催で第22回大阪地方自治研究集会(分科会)を3日間にわたり開きます。テーマは、第21回大阪地方自治研究集会(全体会)と同じ「人口減少社会における公共サービスの役割」。まずはキックオフ集会として、1月28日に特別分科会を開き、脱炭素社会の実現にむけて自治体が果たすべき役割について学びました。前日までの降雪の影響が残るなか、大阪市内の会場には88人が参加。オンラインでも多くの組合員が視聴しました。
冒頭、あいさつに立った副執行委員長は、「2054年には、国民の4人に1人が75歳以上になると予測される。公共サービスを担う私たちが、これからどのような自治体を作っていかなければならないのかを議論できる集会を企画させていただいた。地方自治のあり方を議論できるのは自治労の特性。各単組・ブロックにおいてもしっかり議論してほしい」と述べました。
講師の千葉商科大学の田中信一郎准教授は講演にあたり、「自治体職員にとって最も重要な生産手段は、皆さんの知恵。この研究集会は、生産手段を強化するための大事な集会であり、皆さんが学べば学ぶほど地域の暮らしが良くなっていく。大いに学んで、より良い地域を作ってほしい」と本集会の意義を語りました。
講演のテーマは、「脱炭素社会の実現にむけて」。
はじめに、田中准教授は、人口減少が地域にもたらす影響は、①空き家・空き建物の増加、②商業施設・サービス産業・病院の撤退、③買い物困難者・生活困難者の増加、④訪問・宅配サービスの撤退、⑤公共交通・インフラの維持困難の5つの課題があると指摘しました。
そのうえで、人口減少に強いまちづくりとして、過密でも過疎でもなく、車に依存しないまち「ショートウェイシティ」を推進し、人々の移動に着目したまちづくりを強調し、公共交通の重要性を説明しました。
次に公共施設の老朽化を指摘しました。
建て替えについては、同じ場所ではなく、公共交通の利便性を考慮し、立地から再検討が必要と述べました。また、インフラは住民に使ってもらうことが重要であり、稼働率を高め、建物の寿命を伸ばさないといけない。そのためには、構造劣化の防止や定期的なメンテナンス、用途変更への対応などが重要と説明しました。さらに、労働環境・労働安全の観点から、快適で仕事しやすい環境を作っていくのは労働組合の役割だと訴えました。
最後に、田中准教授は、「今回の講演内容は環境省が定めている地球温暖化対策地方公共団体実行計画策定・実施マニュアルに沿っている。地域の課題を解決するためには、地球温暖化対策の手法を使うことが重要。大阪府で求められる脱炭素政策は、キャップアンドトレード(CO2排出量取引手法の一つ)である」とまとめました。
会場からは、ごみ収集車など公用車・バスに対するカーボンニュートラルの取り組みについての質問があり、田中准教授は、「電気自動車は動く蓄電池としても利用できるので、防災上にも役に立つ。可能な限り電気自動車の導入を勧める」と回答。自治労組合員の仕事に直結する具体的なアドバイスもあり、有意義な集会となりました。
次回は、2月11日と12日に分科会を開催します。大都市や市町村、非正規、公共交通など多岐にわたる課題について議論を深めます。