大阪の町村職場では、限られた人員での業務量の増加や職員の他市への転職、職場・組合での人材育成など多くの課題が山積しています。こうしたなか府本部町村評(議長:泉尋・豊能町職)は7月28日午後に幹事会を開き、課題の改善にむけて府本部中野委員長と意見交換を行いました。
町村評
町村職ではここ数年、採用から3年か5年くらいたつと、他市へ転職していくことが頻繁に起こっています。町村はただでさえ少ない職員で運営している状況なので、残された職員にはさらに過剰な負担がかかっています。そんななか、組合は何ができるのかと考えてはいますが、具体的な改善策を見出すことはできない現状です。
中野
一般市でも中核市や政令市への流出はあります。背景にあるものの一つとして給与構造改革以降、本給を縮小させて手当を増やしてきた自治体が多くあり、地域手当も含め手当を重視してきたことから、自治体間格差が広まってきたことがあると思います。
もう一つは総務省の2040構想です。現在は第2次報告まで提出されていますが、今後は必要な法改正に入っていく流れにあります。
2040年には人口減少が進み、人口の少ない町村は水道料金が3倍以上にもなると言われています。こういうことからフルセットでの行政サービス提供が非常に難しくなって、市町村合併を促すのではなく圏域で行政を行い、行政サービスの半分はAIで補っていくことが議論されています。
これは地方自治の根幹にかかわる問題で、今の自治体の姿を根本から変えていくことでもあり、自治労としても問題意識をもっています。こうしたことも影響して人材流出につながっているかもしれません。また、先が見通せないため、安定感を求めたり、自分の能力を試したいということもあるのでしょう。それと給与格差の問題もあります。この部分については労働組合としての本質的な問題なのでしっかりと取り組んでいきたいと思います。
町村評
国や大阪府からの業務移管で業務量がかなり増加しており、その多さから休職に至る職員もいます。人員体制と業務量の増加も大きな課題です。
また人材の育成も重要な課題だと思っています。当局との交渉でも若手職員の育成という部分については力を入れてほしいと要求していますが、前には進みません。
同時に組合の担い手育成もできていない状況にあり、組合運営も先行きが不安なことが多くなっています。コロナ禍で単組間のつながりが持てないなか、要求書を提出するにも府本部が作ったモデルケースはありますが、どのように交渉を進めればよいのか、細かく分析や解説をいただけたらと思います。
中野
府本部としてモデル案の提供で終わっていることに関しては申し訳なく思っています。少し前は独自で給料表を作っていた自治体が多く、単組も類似団体と比較したり、人口1000人当たりの従事者数はどれくらいかなども議論し、人員の要求などもしてきました。自分のところの給料は、よその町村と比べて多いのか少ないのかなどしっかりとした調査をやって交渉に入るように努めなくてはならないと思っています。
今後はそのための調査・分析を府本部で行い、町村評・単組とともに緻密な交渉ができるように努めていきたい。また人材育成については、本人が希望する研修が行えていない部分にも問題があると思います。研修のための休暇制度も必要ですし、人が育たなければ組織は回りませんので人材育成にもっと投資をするべきだと考えます。これは官民問わず大きな課題だと思います。
この町は自分を育ててくれていると思えるのか思えないのか。こういったところも人材流出の一つの要因ともいえるかもしれません。人材育成に関わる研修制度については、府本部として大阪府に対して要求行動も行っていきたいと思います。