府本部は、11月に実施された大阪市を廃止し特別区を設置するいわゆる「大阪都構想」の住民投票の総括と、今後の大阪における政治情勢や自治のあり方を考えることを目的に、12月12日に大阪市内で「2021年度政治集会」を行いました。集会は、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大状況をふまえ、府の要請や自治労の感染対策に沿った運営を行いました。対面参加とウェブ参加を併用した形態とし、あわせて85人の組合員と市民団体の代表者らが参加しました。
主催者あいさつを行った中野委員長は、大阪維新の会が大阪都構想の代案として打ち出した大阪府と市の広域行政の一元化について「住民投票で示された民意に反し、実質的に大阪市廃止と同等の影響をもたらす」とし、「総合区制度の導入議論と合わせて動向を注視し、反対の取り組みを強めていく」としました。
記念講演では、ジャーナリストの吉富有治さんを講師に招き、住民投票否決に至る経過や背景、否決の理由、今後の大阪の政治情勢について聞きました。
吉富有治さんは、当初、大阪維新の会にとって圧倒的に有利だった住民投票の情勢が逆転したことについて、今回は「インチキ」がばれたことがその理由としました。
都構想のインチキとは、ひとつは「大阪都」という名称、ふたつめは「大阪市はなくならない」というウソ、最後に「都構想をすれば成長する」という根拠のない売り文句。それを、今回はメディアがしっかりファクトチェックし、それがSNSで広く拡散されたことが否決に至った大きな要因だとしました。
また、ほかにも「イソジン発言」以降の吉村人気の急落、公明党支持者の6割が反対にまわったことなどもあげながら、今回の住民投票の特徴として、市民一人ひとりが自覚を持って運動をし始めるなど市民デモクラシーの台頭があったとして、2度の住民投票が大阪市民に政治意識を目覚めさせたのではないかと指摘しました。
一方で、前回の住民投票後2015年11月に実施された大阪府知事、大阪市長のダブル選挙以降、大阪維新の会が勢いを盛り返し2回目の住民投票実施に至ったように、今回の否決という結果に安穏として何もしなければ、3回目の住民投票は必ず起こるとし、自民党が取り組んでいる大阪都構想の根拠法である大都市法停止法案を紹介しながら、その阻止にむけあらゆる手立てを打っていくことが必要としました。
とりわけ2023年に実施される統一地方選挙、大阪府知事選挙、大阪市長選挙がカギとなることから、今後どのようにたたかっていくのかが問われると提起しました。
また、集会では大阪市社協労組が単組アピールを行い、大阪市廃止による大阪市社会福祉協議会解散、各区社会福祉協議会の合併・再編が回避されたことを報告するとともに、今後、総合区制度が導入され合区が進められることになると、区社会福祉協議会が再編され、職員の雇用・労働条件に大きな影響を及ぼします。また、住民に身近な地域活動も困難になるとして、府本部に対し取り組みの強化を要請しました。