府本部北摂ブロックは、10月30日、構成単組と地域自治体の首長、当局関係者などが一同に会し、政策などを意見交換する北摂ブロック自治研究会・円卓会議をシティプラザ大阪で開きました。
今回のテーマは、地域公共交通で、講演した九州大学大学院法学研究院の嶋田暁文教授は、少子高齢社会が進む現代社会で公共交通を専門とした部署を創設すべきと提案。「公共交通とは社会づくり、まちづくりである」と強調しました。特に高齢者の移動手段を確保し、少しでも外出の機会を与えることが求められている。調査によれば、自治体で交通政策を担当している約45%の職員は、兼務もしくは一人で業務を抱えている状況だ。「地域公共交通の問題はこれまでのように片手間で対応すべきではない」と同教授は訴えます。しかし、どこの自治体でも厳しい財政事情を抱えており人員に余裕がないのが現状です。
一方で、自治体が運行するコミュニティバスなどは、赤字であっても落胆することはないと話します。国交省などでは、公共交通に対してクロスセクター効果の測定などを推奨しています。クロスセクター効果とは、交通だけでその効果を測るのではなく、福祉行政への効果などトータルでの便益を追求することです。
三重県のある町では、コミュニティバス導入後、後期高齢者の医療費が2千万円ほど減少したとの実績もあります。これは外出する機会の確保を全面に出して成功した事例です。こうした成功事例があるものの、地方財政がひっ迫するなかでの予算確保、また民間バス会社の人材不足問題など課題は山積しています。