HOME > 最新情報 > 「大阪希望館」が設立3周年記念集会のお知らせ
更新日:2012年6月28日
仕事とともに住まいを失った人たちを支えるため「大阪希望館」が設立されたのは、リーマンショック後の世界不況の中、働ける・働きたい多数の若者が職と住まいを失い、ネットカフェや24時間営業のファーストフード店などに追いやられ、西成区の釜ヶ崎地域内でも若年層が目立ち始めた2009年5月でした。当時、大手家電メーカーも大量リストラを行い、派遣労働者など不安定な労働者ほど仕事を奪われていました。国や自治体の対応を求めるのはもちろんのこと、労働組合の社会的責任としてこの問題に何かできないか。そんな思いで自治労大阪府本部も連合大阪に結集し、NPO釜ヶ崎支援機構や社会福祉法人、宗教家の皆さんとともに、「大阪希望館」設立を支援しました。
「大阪希望館」は、心身共に疲れ果て、緊張と不安のなか入居してきた人達に対して1.迅速な対応 2.急がせない 3.家族替わりになる 4.心の居場所をつくる 5.働く意欲の継続 6.生活保護に頼らない支援(常勤雇用をめざす) 7.総合支援と地域への定着 をモットーに、よりそい型の支援を全国に先駆けて展開しました。
その「大阪希望館」が今年設立3周年を迎えました。これまで58名の人を受け入れ48名の人が卒業されました。
支援居室(左) 就労訓練~河川清掃(右)
設立以来、「大阪希望館」のスタッフとして入所生の相談に乗り、卒業生を見守ってこられたNPO釜ヶ崎支援機構の分林康次さんが設立3周年の記念誌に文章を寄せておられます。その一部をここに紹介します。
希望館から、卒業できた、卒業した。かたちはそれぞれ異なるが入居者一人一人の努力の結果が実を結んだものであり、同時にそれは再出発の入り口に立ったに過ぎない。
入居中は身近に同じ境遇で相談する仲間がいる、自分の希望、目標、意見を述べ合ったり情報交換したり、先輩からアドバイスを受けたり相談できる場所がある、しかしこれからは何事も一人で判断、行動をしなければならない。
卒業後も希望館は実家だと思っていつでも来所するように、居を構えて送り出す時に呼び掛けている。数名の人は常時状況報告してくれ、入居中に知り合った仲間同士で連絡をとりあったりしているが、大半の人が最初週に一度は状況報告に来所してくれていたのが、二週に一度、月に一度と徐々に遠のいて行く、電話で時々状況報告してくれる人がいる一方で、全く疎遠になってしまった人もいる。疎遠になりかけた人には時々それぞれの自宅を訪問したり、手紙を送ったり、電話で話したりと卒業後のケアに勤めているが、なかにはそれを嫌がる人もいる(卒業したので後は自分でやります、心配しないで下さいと云う独立心の強さの表れと感じ、深追いはしない)
現在「便りのないのが元気な証拠」と言えた時代ではなくなり、便りが途絶えると不安定要素の確立が高い、(疎遠になったが、卒業後しっかりやっている人も多数いる、忘れた頃に連絡がある)事務所を久しぶりに訪ねてくれた時は、生活が破綻しかけている人もいる、支援プログラムを練り直し生活の立て直しを図り、再び安定できる場合もあれば、やむなく別の支援施策を利用せざるを得ない場合もある。
卒業後、順調に仕事も生活も安定しかけていた人が、突然未明に電話がなり、ぼったくりバーにひっかかり、多額の請求をされ、払わなければ店から出られない、となきついてきた人がいた(警察に相談、支払う事なく解決済み)、また収入は少ないが何とか生活を維持していた人が、しばらく連絡が途切れた矢先、弁護士から連絡のあった人もいた(詐欺グループに引っ掛かり、司法の世話になった、できるかぎりフォローの後、現在は大阪市内某区で居を構え再起を図れている)と極端な事例だが、卒業後の半年~1年がいかに大事か、どのように支えていくか、を今後の課題として、浮草のような生活ではなく「地域へ根の張れる生活」をめざして行きたい。
入居中の支援スタイルは確立できたが、3年を過ぎてもまだこの課題の先が見えにくい、卒業後、一人で十分やっていける人がいる一方で、常に寄り添っていなければならない人もいる、と云ってベッタリは依存心を高めるだけで良くない。精神障がいを有している人との接し方もある。
入居してきた人が、何を考え、何を求め、どこへ向かおうとしているのか、向かう先への道は、この道で合っているのか、別の道があるのか、を一緒に模索しながら、入居者個々の本来持っている力を最大限に引き出せるよう、その人に会った最善の支援で、卒業後、社会の荒波を乗り越え、安定した生活へ導ける一助になれるよう、職員一同4年目を迎え、関係皆さまのご協力とご指導を仰ぎ、気負うことなく自然体で進めて参ります。
来る7月21日(土)13:30~16:00、豊崎東会館(天神橋筋六丁目駅②番出口北へ5分)にて大阪希望館設立3周年記念集会が開催されます。この3年間の活動を振り返るとともに、依然として厳しい大阪の雇用情勢を踏まえ、新しい取り組みへの決意を固め会いたいと思います。詳しい内容はチラシ(チラシ:PDF)をご覧ください。また、集会に向けて記念誌が発行されます。記念誌には直木賞作家の難波利三大阪希望館名誉館長はじめ、大阪希望館を支援してくださった多くの方々から言葉を寄せていただいています。ぜひ記念集会に参加いただき、記念誌を手に取っていただきたいと思います。
自治労大阪府本部もこの記念集会を契機として、改めて働く仲間の連帯を強め、大阪希望館の活動支援に努めていく決意です。