どこがヘン!?ここがヘン!!橋下市長の“行列のできない市長選” 其の参

更新日:2014年3月24日

 あまりにも唐突な橋下市長の市長辞職と「出直し選挙」。「大阪都構想」には反対の私たちですら、どう受け止めていいのか戸惑うばかりです。この市長選を名付けたら?この質問に橋下市長のものまねでも知られる社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の福本ヒデさんが絶妙のネーミング、名付けて“行列のできない市長選”(朝日新聞2月4日夕刊)。まさに言い得て妙。このネーミングをタイトルにお借りして、“行列のできない市長選”の問題点を探ってみます。

Q.大阪市長選挙が終わったら大阪市政はどうなるの?

 大阪市民にとってはとても悲しむべきことだけど、大阪市政の混乱と停滞は一層進むと思うよ。民主、公明、自民、共産の各党が候補者擁立を見送り、いわゆる「泡沫」候補との対決となった以上、橋下市長は間違いなく再選される。彼は再選を「錦の御旗」に掲げて、法定協議会からの民主、自民、共産の委員を排除し、強引に「区割り案」の絞り込み、「協定書」のとりまとめを強行しようとするんでしょうね。

 でも、大阪維新の会以外の会派の議員は、こうした横暴を許すわけにはいかないから、議会と首長の対立は深刻化し、予算や様々な事業に関する条例審議なども停滞すると思われる。板挟みになる大阪市職員は「政治」に翻弄されることになるし、それ以上に市民は置き去りにされ、場合によっては内容すらよくわからないまま住民投票という形で、「大阪都構想」への白紙委任を迫られることになるかもしれないね。

 このままでは大阪市は大阪市民から本当に愛想を尽かされてしまいかねない。2015年の4月には統一自治体選挙があり、11月にはダブル選挙が予定されている。それまでに新しい大阪の政治の姿を示す責任が政党や労働組合などの民主団体にはあると言えるよ。そのためには市政に責任を持てる体制で、一刻も早く次期府知事や大阪市長の候補を決める必要も出てくるね。橋下市長は何回でも市長選挙をするとうそぶいているようだけど、選挙に負けるので辞職できないところに追い込むのが、真の民主主義かもしれませんね。

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Q.「劇場型政治」を終わらせるもの

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 日本で「劇場型政治」の草分けといえば、小泉純一郎氏だろう。郵政民営化法案が参議院で否決されると、「自民党をぶっ壊す」と、ただちに衆議院を解散した。反対派に「刺客」候補を放ち、大勝。「小泉劇場」と言われた。ところが9年後の今年、細川護煕氏を担いで「原発即時ゼロ」を訴えた都知事選挙ではあえなく敗北。「小泉劇場」再演はならなかった。

 「劇場型政治」の批判は既に語りつくされた感がある。「敵」を名指しして、不満を煽りたてるものだ。シングルイシューについて白か黒かの二者択一を迫るものだ。ポピュリズムだ。ファシズムだ。などなど。しかし、これらは「劇場型政治」の一面をとらえるものとはいえ、こうした性格を有した政治家がいつも「劇場型政治」を創出できるわけではない。小泉氏でさえ、二度目は失敗に終わったわけです。

 「ふわっとした民意」とは、橋下市長の「名言」だが、「民意」は「敵」を示されるといつも攻撃的になるわけでもないし、「シングルイシュー」に白黒つけたがるとは限らない。「民意」はいつも「ふわっ」としているわけではないのである。視聴率が上がらなければテレビは報じない。読まれないものを新聞や雑誌は記事にしない。「行列のできない」市長選の主役は早晩、消えていく運命だろう。後に残るのは、「政治家」すら消費していくマスメディアのあざとさだけだ。しかし、橋下氏の知事就任以来、6年間にわたって傷ついた大阪府市の行政システムの再生は並大抵ではない。しっかりしなくては。

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