更新日:2014年3月4日
あまりにも唐突な橋下市長の市長辞職と「出直し選挙」。「大阪都構想」には反対の私たちですら、どう受け止めていいのか戸惑うばかりです。この市長選を名付けたら?この質問に橋下市長のものまねでも知られる社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の福本ヒデさんが絶妙のネーミング、名付けて“行列のできない市長選”(朝日新聞2月4日夕刊)。まさに言い得て妙。このネーミングをタイトルにお借りして、“行列のできない市長選”の問題点を探ってみます。
橋下市長や松井知事が進める「大阪都構想」。その制度設計について話し合う「大阪府市特別区設置協議会(法定協議会)」という会議があるんだ。知事、市長のほか、9人の大阪府議会議員、9人の大阪市会議員で構成されている。1月17日のその会議で橋下市長が突然、今まで四つの案で検討してきた「区割り案」を一つに絞りたいと提案したんだ。
でも、「区割り案」の絞り込みは、「第3ステージ」の話し合いが終わってからというのが最初にきめた約束。だから大阪維新の会以外の全ての会派は、1月31日の会議、つまり「第2ステージ」の話し合いも終わっていないこの段階で絞り込むのは時期尚早だと反対したというわけ。
なのに橋下市長は、秋に住民投票を行い、来年4月から「大阪都」に移行するためには夏までに設計図(協定書)をまとめないと間に合わないと言って、突然、辞職と市長選挙への再出馬を表明したんだ。2月7日の辞表提出の時には、法定協議会から「大阪都構想」に反対の委員を排除するために選挙をすると言い放って、みんなを驚かせたよ。
だって、橋下さんがもう一度市長に選ばれても府議会や大阪市会の議員構成は変わらないし、法定協議会の委員は各々の議会が選ぶことになっていて、市長が委員を勝手に選ぶことなんてできない制度なんだから。
どうして辞職、市長選挙なのか、実は誰も本当のところはわからない。橋下さんはもっとちゃんと説明すべきだろうね。
法定協議会は「大都市地域特別区設置法」に基づいて設置されているんだけど、この法律は、政令市を廃止して、特別区を設置する手続きを定めているもの。この法律によると特別区の設置には、重要事項を定めた「協定書」をまとめ、府議会と大阪市会で議決した後、大阪市民の住民投票で過半数の賛成を得る必要がある。ただし、その協定書に盛り込まないといけない「特別区と府の事務分担」と「特別区と府の税源配分と財政調整」については、事前に総務省と協議するルールになっている。ところが総務省からは「区割り案」が決まらないと事前協議ができないと言われているようで、どうもそれで焦っているんだね。
もともと民主や自民などが早く「区割り案」を示せと迫ったのに対して、4案で議論しようと言ったのは橋下市長の方なんだ。それは、「ダブル選挙」では人口30万人程度の特別区8~9区に再編と言っていた「大阪都構想」を、人口平均50万人を超える5区案に「修正」するために考えた仕掛けだったんだ。いわば自分が仕掛けた罠に自分が引っ掛かったってところかな。
もう一つ。「第3ステージ」では「新たな広域自治体の名称」を決める約束なんだけれども、でもこの法律は道府県の名称変更については何も定めていない。「都」は橋下市長が勝手に使ってるだけなんだ。そもそも「都」への変更を国は認めないだろうね。もし「府」という名称を変えるなら法律改正と大阪府民を対象とした住民投票が必要になる。それが「都」以外なら府民は賛成するだろうか。その前に「住民投票」をやっちゃいたかったのかもしれないね。