大阪市チェックオフ廃止事件
控訴審でも国(労働組合側)が全面勝利
〜東京高裁行政訴訟判決について(声明)〜
大阪市が職員の給与から労働組合費を天引きして組合側に渡す「チェックオフ」制度を廃止したことについて、中央労働委員会が出した救済命令を不服として、大阪市が国(中労委)を相手に提訴していた組合費チェックオフ廃止通告にかかわる行政処分取り消し訴訟の控訴審判決が2018年8月30日に行われ、東京高裁は、大阪市の請求を棄却し国(労働組合側)の勝利となる判決を下しました。
大阪市労働組合連合会と自治労大阪府本部、自治労・大阪市労連弁護団の声明を掲載します。
大阪市チェックオフ廃止事件東京高裁行政訴訟判決について(声明)
2018年8月30日
大阪市労働組合連合会
自治労大阪府本部
自治労・市労連弁護団
- 本日(2018年8月30日)、東京高等裁判所は、チェックオフ廃止通告を不当労働行為とした別紙の中央労働委員会救済命令について大阪市がその取消を求めた控訴審訴訟で,大阪市の控訴を棄却する判決を言渡しました。本年2月21日の東京地裁判決は、大阪市の取消請求を棄却しており、大阪市が控訴していました。
- 大阪市は、チェックオフ廃止通告は、関係部局が独自に検討していたもので橋下前市長の意思に従ったものではない、と主張しました。これは、橋下前市長の言動やメールなどの明白な証拠に反する強弁と言うほかないものです。
また、大阪市は、チェックオフについては使用者の意向で簡単にできるものと主張しましたが、これは、労使関係の安定を無視したものです。
そして、大阪市は労使関係条例の成立により不当労働行為救済が許されなくなったと主張しました。労使関係条例12条は組合に対する便宜供与は行わないとしていますが、本件不当労働行為救済申立て後に成立した条例であり、しかも条例は憲法・労働組合法等国の法令に反することはできません。後述する別件訴訟において、大阪地裁及び大阪高裁は、労使関係条例12条は不当労働行為を正当化するものではない等と限定的な解釈を示しています。
- 橋下前市長は2011年12月の就任直後から、大阪市の全職員に対する強制アンケート、組合事務所退去通告、チェックオフ廃止、団交拒否、労使関係条例の制定等の職員及び労働組合に対する不当な攻撃を相次いで繰り返し、労働組合の弱体化を図ってきました。
橋下前市長の職員・労働組合攻撃に対し、市労連及び関係労働組合は、労働委員会に対する不当労働行為救済申立、そして裁判所に対する訴訟提起により反撃してきました。
その結果、市労連及び関係労働組合申立てにかかる全事件において、別紙のとおり大阪市の違法行為が認められました。その数は、本日までに、大阪府労委命令が6件、中労委命令が4件、大阪地裁判決が2件、大阪高裁判決が2件、東京地裁判決が1件、東京高裁判決が1件、合計16件となります。
このように特定の首長の一連の対組合施策がすべて違法とされるのは、歴史的に見ても全国的に見ても極めて異常な事態というほかありません。
私どもは、大阪市に対し、本件東京高裁判決を受け入れ上告等を行わないこと、労使関係条例を理由に一切の便宜供与をしないとの態度を改め、憲法、労働法を遵守すること、労働委員会命令を誠実に履行し誠実な団体交渉に入ること、速やかに正常な労使関係を確立することを要請します。
以上