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働き方改革関連法案の可決・成立に対する府本部声明

 「働き方改革」関連法は、6月29日の参院本会議で、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。同法は、罰則付きの残業時間の上限規制導入、高収入の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」創設、正社員と非正規労働者の格差改善を図る「同一労働・同一賃金」の適用が柱となっている。とりわけ、高収入の専門職を労働時間規制から外す高プロ制度は、長時間勤務や過労死を助長する内容として連合・自治労総体を挙げ反対してきたが、法案が可決・成立したことは極めて遺憾である。

 政府は高プロの対象となる業務の適用要件について、年収1,075万円以上の研究職、アナリスト、コンサルタントなどの一部限定した専門職と想定しているが、詳細については法案成立後に労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)で議論する方針としており、法成立時点では何ら決まっていない。また、対象職種の拡大や年収要件の緩和など、注意すべき点は存在する。政権に近しい経団連では、年収要件の緩和などを強く求めており、こうした動きに対し反対の声を挙げ続けていかなければならない。

 日本では過労死が長年大きな問題となっている。残業時間の罰則付き上限規制については年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間の残業を認める法律となっている。過労死ラインは月80時間となっていることから、同法では過労死ラインの残業を容認することになる。一方、高プロでは労働時間の規制がなく、残業代も深夜・休日手当も支給する必要はない。企業は労働者の勤務時間を把握する義務がなく、運用いかんでは、過労死を助長する悪法と言わざるを得ない。また、労働時間の把握が不必要なことから長時間労働が原因となる労災が適用されない恐れもある。

 一方で、非正規労働者の待遇改善を図る「同一労働・同一賃金」の適用が法律として制定された。これにより身分による不合理な待遇差を解消するための規定(パートタイム労働法・労働契約法改正)がいっそう強化されることになる。自治労が長年求めてきた同一価値労働・同一賃金に一歩近づく内容として、このように法制化されたことは評価できる。引き続き、非正規労働者の同一労働・同一賃金の実現に向け、政府からの具体的な方策について注視する必要がある。自治労として約64万人の臨時・非常勤等職員の均等待遇実現は喫緊の課題である。自治体で働く臨時非常勤等職員には一部改正地公法・自治法(会計年度任用職員制度)が昨年5月に成立した。同改正法では、雇用の継続が明確化されないなど、一定不満の残る内容だったが、「同一労働・同一賃金」の考え方のもと、常勤職員との権衡を図っていくことが明確に示された。政府は、『働き方改革実行計画』を作成し、具体的な工程表を示している。工程表にも公務職場での処遇改善について明記されていることから、今回の働き方関連法成立により、地方財政計画も連動した財務省からの財政措置を期待する。

 同法の審議は、十分な審議が尽くされたとは言い難い。今後の議論の舞台は、労働政策審議会に移る。条文では明確になっていない、「高度プロフェッショナル制度」の対象業務や年収要件、時間外労働の上限規制の詳細、勤務間インターバル規制、同一労働・同一賃金に関するガイドラインなど、省令・指針等において定めなければならない事項は多数に上る。府本部は、自治労・連合に結集し、だれもが健康でいきいきと働くことができる「真の働き方改革」の実現のため、引き続きたたかいを進める。

2018年7月4日
自治労大阪府本部執行委員会

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