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大阪市立環境科学研究所の廃止分割など3条例可決に対する府本部抗議声明
議決に対し強い憤りと抗議
重大な影響を及ぼしかねない事案

 大阪市会は、3月29日、本会議で「大阪市立環境科学研究所」の分割と「大阪市立環境科学研究センター」の設置、並びに「大阪府立公衆衛生研究所」との統合・独立行政法人化に関する条例案を維新の会、公明党の賛成により、可決しました。これに対し自治労大阪府本部は、6日の執行委員会で、今回の議決に、府民、大阪市民の生命と安全に重大な影響を及ぼしかねない事案として、強い憤りと抗議の意を表した抗議声明を発表しました。この案件では、当該の大阪市職も反対の立場を鮮明にし、各会派への要請行動や朝ビラの配布活動に取り組んでおり、可決を受けて、抗議集会の開催や抗議声明も公表しています。この事案については、すでに府議会で自民を含む3会派の賛成で可決されています。自治労大阪府職も、一貫して反対の立場で取り組みを進めています。

声明全文

 2016年3月29日、大阪市会本会議において、「大阪市立環境科学研究所条例を廃止する条例案」「地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案」「大阪市立環境科学研究センター条例案」などが大阪維新の会、公明党の賛成により賛成多数で可決されました。この条例案は、「大阪市立環境科学研究所」を「環境」と「衛生」に分離し、「環境」部門は新設される「大阪市立環境科学研究センター」へ、「衛生」部門は、「大阪府立公衆衛生研究所」と統合し、独立行政法人化を行うなどとするものです。

 自治労大阪府本部は、住民の生命を守るために都道府県及び政令市に設置が義務付けられている「地方衛生研究所」は当然、直営で運営されるべきとの前提に立ち、大阪府立公衆衛生研究所と大阪市立環境科学研究所の衛生分野を統合し、独立行政法人化するという構想は、健康危機事態に際して、首長の直接的な指示、命令権限が確保されず、不適切であるとともに、衛生分野と環境分野の協働で高い効果を上げている大阪市立環境科学研究所の機能を著しく弱めるとして、提案当初から反対を表明してきました。

 しかし、吉村市長は、3度にわたって大阪市会で否決され、かつ昨年5月の大阪市廃止・分割の是非を問う住民投票が反対多数で「否決」され、今後とも大阪府、大阪市の二層構造で大阪の地方自治が運営されることが決定されたことにより、両研究所「統合」の必要性は完全に消失していたにもかかわらず、独法化に固執して再提案を強行しました。

 加えて、急遽、再提案された条例案では、環境分野の研究所として「大阪市立環境科学研究センター」が大阪市直営で設置されることとされました。この結果、吉村市長が提案した最終案は、財政効果すら担保されない非効率な案となりました。さらに再々提案された条例案も、健康危機事象における大阪市長の指示、命令権を担保するものとはなっておらず、むしろ条例案の欠陥を露呈するものとなっています。

 また、条例案の内容だけでなく、大阪市会の関係委員会において、複数の委員から私たちの指摘と同趣旨の意見表明や質疑があったにもかかわらず、吉村市長及び関係理事者の対応は、論点をはぐらかすような答弁に終始する不誠実なものでした。吉村市長のこうした対応は、市民の生命と安全とともに、自治体の最高議決機関である地方議会をも軽視するものであり、民主主義を軽んじる政治姿勢に強い憂慮の念を抱かざるを得ません。

 自治労大阪府本部は、こうした立場から今回の議決に強い憤りとともに抗議の意を表すものです。

 同時に、条例案の可決により、今後、「改革」案の具体化が進むことになりますが、関係労組とともに「府民・市民の生命と安全」を守る立場を第一に、安易な独法化に危機感を持つ市民とも広範に連携し、引き続きとりくみを進めていくことを表明します。

2016年4月6日
自治労大阪府本部

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