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大阪市廃止・特別区設置住民投票「否決」に関する自治労大阪府本部見解

 自治労大阪府本部は、6月3日、2015年度府本部第9回執行委員会で、大阪市廃止・特別区設置住民投票「否決」に関する自治労大阪府本部見解を発表しました。自治労大阪は、僅差での勝利に対し、民主・リベラル政治勢力の退潮に歯止めがかかっていないと分析。大阪における政治的危機はなお継続していると示しました。また、政令指定都市の権限や財源を最大限活用した大阪市政改革のあり姿を市民に提示することが必要と強調しました。

 以下、見解全文です。

「大阪市廃止・特別区設置住民投票「否決」に関する自治労大阪府本部見解」

 大阪市廃止、特別区設置の是非を問う住民投票は2015年5月17日に実施され、反対票705、585票、賛成票694、844票、投票率66・83%で、わずか10、741票の差で、「否決」されました。大阪市民は、今回の「否決」によって、政令指定都市・大阪市の存続を選択しました。まず、大阪市民の賢明な選択に敬意を表します。

 府本部はいわゆる「大阪都構想」について、当初から府県集権主義的な制度改革案であり、自治労が提唱する基礎自治体中心主義による地方分権改革と相容れないものとして反対してきました。具体的には関係単組による「大阪府市問題対策会議」、大阪自治研センターと連携した「大阪の自治を考える研究会」、民主・みらい市会議員団と連携した「法定協議会対策会議」などに取り組み、2013年10月5日に開催した第58回定期大会で大都市制度対策室を設置し、活動強化をはかってきました。

 今回の住民投票に際しては、自治労をあげた取り組みを要請するとともに、連合大阪に結集して取り組みました。また、対話と合意を重視する政治の実現をめざして結成された「府民のちから2015」に連合大阪を介して結集し、政党・会派の違いを越えて大阪市の廃止・分割に反対する広範な運動の一翼を担いました。これらの運動が今回の「否決」に結実したものであり、自治労組合員はもとより、大阪市廃止・分割反対に立ちあがったすべての政党・会派、障害者団体や女性団体などの市民団体、若者たちのグループ、「大阪市民」として立ちあがった個人の皆さんらとともに勝利を共有し合いたいと思います。

 住民投票「否決」を受けて、改めて以下の点を確認しておかなければなりません。第1に大阪市廃止・分割構想は稚拙で、市民を不幸にする構想であったこと。第2に、強引に住民投票が実施されたこと自体が誤りで、暴挙であったこと。第3に、この暴挙に政権中枢が関与し、劣化したマスメディアはその問題に対するチェック機能を果たせなかったこと。第4に、今回の事態を許した政治状況は今も存在し、再来の危険性を有していること。以上の点をふまえるなら、今回の「否決」が極めて僅差での勝利であったこと、民主・リベラル政治勢力の退潮に歯止めがかかっていないことを含め、大阪における政治的危機はなお継続しているとみなければなりません。

 この政治的危機を本格的に克服するためには、政令指定都市の権限や財源を最大限活用した大阪市政改革のあり姿を市民に提示しなければなりません。そのことによって橋下・維新の会の暴挙で二分されてしまった「民意」をひとつに再統合しなければなりません。いま、まさにその「ラストチャンス」です。

 各政党・会派が活発な議論を通じて市民に見える形で政令指定都市・大阪市の未来像を提示することを要請するとともに、府本部としても公務・公共サービスを担う労働者の労働組合であるという社会的使命を自覚し、主体的取り組みに邁進します。また、こうした取り組みを通じて、民主・リベラル政治勢力の再生が果たされ、秋の大阪府知事選挙、大阪市長選挙での勝利に結実しうるように希求するものです。

2015年6月3日
自治労大阪府本部執行委員会

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