HOME > 政策・提言・見解 > 「特別区設置協定書」の否決を受けての自治労大阪府本部見解
2014.10.27
自治労大阪府本部執行委員会
大阪府議会および大阪市会に承認を求めていた「特別区設置協定書(以下、「協定書」)」について、本日(2014年10月27日)、府市両議会はともに反対多数で否決しました。
両議会が、真摯な議論を重ねた上で「協定書」を否決したことは、住民の代表機関である議会の良識を示されたものであり、敬意を表するものです。
自治労大阪府本部は、いわゆる「都」構想は、住民自治や基礎自治体の拡充に逆行する「府県集権主義」の構想であり、補完性原理に基づいて推進されるべき地方分権改革とは相容れないとして、この間一貫して反対し続けてきました。
「協定書」は、2013年8月の法定協議会に示されたパッケージ(制度設計)案を基に策定されていますが、パッケージ案は、指定都市としてのスケールメリットを生かした都市経営を否定し、特別区に分割することから生じる行政的非効率を、一方では「民主主義のコスト」としながらも、地方交付税の増額を求めないという総務省との約束との整合性をつけるため、その矛盾を特別区の行政権限や行政執行体制、財政的基盤の脆弱化によって糊塗する設計案となっていました。
その結果、市民のチェックやコントロールが及びにくく、しかも本来特別区相互の合意のもと設置が決定されるべき巨大な一部事務組合が計画され、さらに、特別区には近隣中核市との単純比較を基に算出した実現性の疑わしい職員削減計画が課されており、計画通りに職員削減が実行されなければ立ちいかない財政シミュレーションとなっているなど、名ばかりの「中核市並みの特別区」となっていました。
「協定書」は、①事務分担にかかる133の法令改正を国に求め、中核市権限の76の改正について総務省とほぼ合意しているとしていたにもかかわらず、1本の法律改正も行われず、すべて府の事務処理特例条例によるとされたこと、②都市計画の用途地域の指定等は事務処理特例条例による移譲になじまないとの国土交通省の指摘を受けて、府の事務とされ、特別区のまちづくり権限が縮小されたこと、③地方交付税(臨時財政対策債を含む)は法令上の調整財源とはされず、府の条例で特別区に配分されることになったことなど、当初のパッケージ案に比べても府の裁量権限が強まったものとなっています。
「協定書」は、もはや地方自治改革の制度設計案としても破綻しており、府市両議会の否決はきわめて妥当な判断であると支持します。橋下市長、松井知事には、違法な「専決処分」など、これ以上の民主主義の破壊行為を行うことのないよう強く要望するとともに、両議会の真摯な議論と判断を尊重して「都」構想を断念されるよう期待するものです。
以 上