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2010年度政府予算案・地方財政対策に関する自治労見解

2010年1月12日
全日本自治団体労働組合

1.政府は12月25日の閣議で、2010年度政府予算案と財政投融資計画を決定した。一般会計の総額は過去最大の92兆2,992億円(今年度比4.2%増)となった。また、政策的経費の一般歳出は過去最大の53兆4,542億円(今年度比3.3%増)に達する一方、税収は37兆3,960億円(今年度比18.9%減)と今年度予算から約9兆円もの大幅な減少となった。税収の大幅な減少に伴い、新規国債発行額は44兆3,030億円(今年度比33.1%増)に達し、1946年度以来、初めて税収が公債金を下回る予算となった。

 歳出のうち、社会保障関係費は子ども手当の創設等を受けて、27兆2,686億円(今年度比9.8%増)と今年度に比べて2.4兆円増加した。一方、公共事業関係費は5兆7,731億円(今年度比18.3%減)と今年度に比べて1兆2,970億円減少した。「コンクリートから人へ」という新政権のマニフェストスローガンを反映した歳出となっている。

2.2010年度地方財政計画については、歳入・歳出規模は82兆1,200億円と今年度に比べて4,357億円(今年度比0.5%減)減少したが、水準超経費(地方交付税不交付団体配分費)を除くと、交付団体では2,000億円程度の増額となった。また、地方税、地方交付税などの一般財源総額は59兆4,103億円(今年度比0.6%増)、水準超経費を除くと、交付団体では9,600億円程度(今年度比1.7%増)の増額となった。大半の交付団体である自治体では、2010年度予算編成にあたって障害はなくなり、財源確保の道ができた。

3.地方交付税総額は、16兆8,935億円と今年度と比べて1兆733億円の増額となり、臨時財政対策債7兆7,069億円(今年度比49.7%増)含めて、実質的には24兆6,004億円(今年度比17.3%増)と今年度に比べて3.6兆円の大幅な増額となり、実質的な地方交付税、臨時財政対策債どちらも過去最高の予算額となった。増額した1兆円の内訳は、既往の「地域雇用創出推進費」(5,000億円)が廃止された替わりに、「地方再生対策費」(4,000億円)が継続され、「地域活性化・雇用等臨時特例費(仮称)」(9,850億円)が新たに計上された。一方、財源不足額も過去最高の18兆2,200億円程度に達しており、地方交付税総額は増額となったものの、財源対策債、臨財債の増発で補填しており、財源不足額の規模も過去最大となったことは、今後の地方財政における課題となろう。

4.マニフェスト工程表の主要事項のうち、子ども手当については、現行児童手当と併給になった。2010年度分の子ども手当は全額国庫負担とされ、児童手当併給に伴う市町村の事務負担が生じないよう制度設計が行われることとなった。しかし、児童手当の地方負担分は現状通りとしたことで、2010年度については、子ども手当の一部に地方負担を存続させる制度となった。また、公立高校の授業料無償化については、地方公共団体が徴収していた授業料を国が肩代わりし、地方公共団体に対しては、授業料相当額を国費により負担することとされた。

 子ども手当において、地方の意見を十分に反映できない状況の中、地方負担が残ったことに対し、地方自治体の中から反発の声も出されている。新政権が「地域主権」を掲げていることもあり、早急に国と地方の協議の場の法制化が必要である。

 また、12月に公表された地方分権改革推進計画では、義務付け・枠付けの見直しについて、地方要望分も含めた121条項が対象となっているが、このうち施設や運営等の基準の見直しについては、サービス水準を確保するために、財源保障を担保することが必要である。

5.2010年度予算は、新政権による初めての予算編成である。「地域主権」を重点課題とした新政権のビジョンを反映し、地方財政の財源確保を優先した政府予算案であると評価できる。これまで自治労は、政府予算要求行動を通じて地方交付税の増額を要請してきたが、地方交付税総額が11年ぶりに1.1兆円規模の増額が実現したことは、この間の取り組みの成果である。

6.2011年度以降の子ども手当の費用負担のあり方等については、来年度予算編成過程で議論がされることになる。負担について、関係者の合意形成がはかられるよう、引き続き取り組みを進める。

 今後、自治体における予算編成は最終局面を迎えることとなる。地方交付税総額が確保されたことを受けて、自治体予算における公共サービス水準の充実と必要財源の確保が求められる。

 自治労は、持続可能な地域社会を支える地方財政の確立にむけ、政府・与党、連合、地方六団体と連携し、引き続き全力で取り組む。

以上

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