HOME > 政策・提言・見解 > 自治労大阪見解 > 地方分権改革推進委員会「第4次勧告」に対する自治労見解
2009年11月11日
全日本自治団体労働組合
1.11月9日、地方分権改革推進委員会(委員長:丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は第4次勧告をまとめ、鳩山総理に提出した。
2.第4次勧告は、2009年1月以降、地方分権改革推進委員会において行われた税財政の有識者や関係府省からのヒアリング等を受けて、地方税財政における諸課題を2010年度予算編成に向けた当面の課題と中長期の課題とに区分し、それぞれについて取りまとめたものである。
3.当面の課題では、来年度予算編成に向けて、地方税、地方交付税原資である国税5税が大幅な減収となる見込みであることから、地方交付税の総額確保に配慮すべきとし、さらには、地方の財源不足を臨時財政対策債や特例加算等の暫定措置で対処してきていることに対し、地方交付税法第6条の3第2項の規定を踏まえ、地方交付税法定率の引き上げを提言するなど、地方自治体の税財源基盤の安定化をめざしたものとして、評価できる。
4.しかし、当面の課題において、地方交付税が有する地方交付税総額の確保という財源保障機能と自治体ごとの財政力の格差を是正する財政調整機能のうち、財源調整機能の強化のみの指摘にとどまっているのは問題である。地方交付税の財政調整機能と財源保障機能は一体であり、財源保障機能の強化を図るべきは当然である。
5.また、直轄事業負担金制度の改革として、国直轄事業そのものを縮減することにより、負担金による地方の財政負担を縮小させると指摘しているが、まずは、既存の事業費水準を落とさないことが必要であり、合わせて、国直轄事業の削減によって地方交付税の総額が減額されないようにすべきである。さらに、道路・河川の移管については、地方自治体に交付金の創設で財源を確保するとの考え方が示されているが、一括交付金化に当たっては、財源を十分に確保し、継続事業に支障を来さないことを前提に、積極的な移管を図るべきである。
6.国と地方の協議の場の法制化を待たずに、国と地方の事実上の協議を開始すべきと勧告したことは評価できる。国と地方の協議の場の設置については、早急な実施と法制化に向けた取り組みを進める必要がある。
7.本勧告は、地方分権推進委員会における最後の勧告であり、今後は、鳩山総理をトップに設置される「地域主権戦略会議(仮称)」において、具体的な法律改正等の対応がとられることとなる。自治労は、公共サービス拡充と地域の自己決定権の拡大につながる真の地方分権改革実現に向け、連合などと連携し、全力で取り組みを進める。