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更新日:2011年7月25日

自治労大阪国際協力活動
第3期の事業としてパラミラーニングセンターの支援を行う

1995年から始まった自治労大阪の国際協力事業
第1期はラオス・リンサン村とフィリピン・シルーマ町への支援

 自治労大阪は、1995年の自治労大阪結成40周年の記念事業の一環として国際協力事業の取り組みを開始しました。この取り組みは、アジアを中心とした民間レベルでの「顔と顔の見える」協力関係を作り出すことによって、労働組合の社会貢献・国際貢献の役割を果たしていこうとするものでした。

 第1期目の事業として1995年から5年間を目途に「ラオス・リンサン村」での学校教育・学校農園支援、「フィリピン・シルーマ町」でのコミュニティ自立、生協支援を決定し、取り組みを進めました。ラオス・リンサン村のプロジェクトは、1998年度までの4年間で小学校改築など当初の計画を達成して終了しました。フィリピン・シルーマ町については1999年度までにコミュニティーセンター建設などを実施し、5年間で取り組みを終了しました。

 自治労大阪は、2008年11月10日から16日、タイのビルマ(ミャンマー)難民キャンプの国際協力事業の中間的な事業評価をし、今後の国際協力事業に活かすために、ビル マ(ミャンマー)難民キャンプを訪ねました。参加者は、池田国際協力運営委員長をはじめとする6人です。

 自治労大阪はSVA(シャンティボランティア会)と連携して、難民キャンプの図書館事業にかかわる活動の支援に取り組んでいます。

第2期はビルマ難民キャンプの図書館支援事業と中国黄土高原の緑化協力事業

 その後、2005年に第2期取り組みの対象地・内容の選定を行うため、ビルマ難民キャンプや中国黄土高原の調査活動を実施しました。調査結果に基づき、2006年度から2010年度までビルマ難民キャンプ図書館支援と中国・黄土高原の植林・緑化事業の2事業を支援対象とすることを決定し、取り組みを開始しました。

緑化事業について説明する緑の地球ネットワークの高見事務局長

緑化事業について説明する
緑の地球ネットワークの高見事務局長

松の植林作業

松の植林作業

 ビルマ難民キャンプの図書館支援、中国の黄土高原緑化協力事業はともに、それぞれおかれている厳しい現状の中においてニーズが高い事業でした。5年間の事業を通して必要な役割を果たし、一定の貢献をすることができました。現地の人々、カウンターパートであるシャンティ国際ボランティア会(SVA),緑の地球ネットワーク(GEN)からも大きな感謝と評価を頂いています。 

手作りおもちゃの作り方の指導を行うスタディツアー参加者(図書館司書)

手作りおもちゃの作り方の指導を行う
スタディツアー参加者((図書館司書)

旧図書館が老朽化したため、新たに寄贈したくま図書館

旧図書館が老朽化したため、
新たに寄贈したくま図書館


第3期国際協力活動はタイ・パラミラーニングセンターへの支援

 このように、第1期、第2期とも自治労大阪の国際協力事業は、アジアをフィールドにして取り組んできました。2010年代に入った今日的な時代状況としても、アジアは政治的にも経済的にも発展途上の国が多く、軍事政権の存在や難民の発生、さらには自然災害の多発など、厳しい状況が多くあります。また、国境紛争、宗教問題,少数民族問題などを含めて、社会的、歴史的な多くの問題があり、格差・差別問題としても多くの課題を持っています。このようなアジアのおかれている現実をみるとき、民衆同士の顔と顔の見える国際協力事業の役割はさらに重要となっていると言えます。 

 こうした中で、自治労本部を中心に作られた国際NGO・エファジャパン(イーデスハンソン理事長)より、「ビルマ(ミャンマー)移民労働者の学校支援」への取り組み要請が来ました。

 ビルマ(ミャンマー)においては、第2次世界大戦後のイギリスからの独立運動、さらにはその後の軍事政権への民主化運動の時期を通して、軍事政権の少数民族排除、強制労働や児童労働、政治的自由の剥奪や人権侵害、労働組合権の抑圧などと戦ってきた人々が、政治難民となり海外(日本にも多数のビルマ(ミャンマー)難民が来ている)や隣国タイやバングラディシュなどに逃れる事態となっています。また、少数民族自治州への圧力として耕作農地・村から追い出されるなど生活難民、経済難民となった人々も多数生じています。難民化した人々は国境を越えタイやバングラディシュなどへ逃れ、難民キャンプが形成されています。

 タイにおいてはその難民キャンプから第3国定住としてアメリカなどへ移住して行った6万人を含めて、18万人が難民キャンプに避難しています。また、難民キャンプだけでなく、国境周辺のタイ・カレン人の村やタイ国境沿いの町・メーソットを含むターク県などに、カレン人にとどまらず、軍事政権から追われたビルマ人や他の少数民族も逃れてきています。何十万人というこれらの(マイグランド・移住する)人々が、子どもたちの教育や保育を確保するために、学校や保育園を国際NGOなどの協力を得ながら自主的に設立・運営しています。2010年5月段階で62か所の教育施設・ラーニングセンターが作られているといわれています。エファジャパンからは、そのうちのビルマ労働組合連盟(FTUB)設立の「パラミ・ラーニングセンター」(「パラミ」はパーリ語で「最高なるもの」という意味)への支援が要請されてきました。

 自治労大阪としては、エファジャパンからの要請や2010年秋に行った現地調査を含めて検討した結果、第3期の国際協力事業として、パラミラーニングセンターへの支援・協力を行うことを決定しました。

 具体的には、教室や施設の建設などのハード支援や教員・関係スタッフへの研修会などを含め、ソフト面からの支援を行っていくことを確認しました。

第1年次の取り組みとして保育園・幼稚園の教室などの施設建設を援助
施設贈呈式を行う―組合員のカンパにより建設

自治労大阪が贈呈した校舎

自治労大阪が贈呈した校舎

  2011年6月15日から19日にかけて自治労大阪はタイ・メソットにエファジャパンの協力で建設した施設の贈呈式に出席し、今後の支援体制について意見交換するため、現地のパラミラーニングセンターを訪ねました。パラミラーニングセンターは、ビルマからタイに避難してきた労働者の子どもたちが学ぶ場として、ビルマ労働組合連盟によって運営されている学校で、敷地内には寄宿舎も持っています。バンコクなどの遠方で働く労働者の子どもらが日々生活しており、集団生活のなかで社会規範も学んでいます。パラミラーニングセンターの活動は知識習得の場としてだけでなく、人権問題の啓発などにも重要な役割をはたしています。

 今回の支援では2歳児から6歳児が毎日を安全に健やかに過ごせるよう、保育施設の建設には、自治労大阪が毎年実施している国際連帯カンパで集約した資金を充てています。施設の建設作業には、子どもをパラミラーニングセンターに通わせている多くの親らがかかわっており、「学校の建設にかかわれてうれしい。誇りに思う。自治労大阪に感謝したい」との感謝の言葉が述べられました。

 贈呈式で自治労大阪の山下委員長は、アジアとの連帯を深めるためにラオスなどで行ってきた国際協力活動も紹介しながら、パラミラーニングセンターの保育所建設がエファジャパンの協力で実現した国際協力で3期目の活動にあたることを話しました。そして、今後はソフト面の支援として年齢区分による保育指導や、教育カリキュラムの確立を求めて保育にかかわる職場で必要な技術などを伝えるセミナーの開催を企画していることも述べ、「現地との意見交換を深めていきたい」との考えを明らかにしました。また3月11日に発生した東日本大震災で地震と津波で被害を受けた被災地の復興作業の現状についても述べ、「タイからも義援金をはじめ大きな支援をいただいている。安全で安心な生活に満ち溢れる平和な世界をつくりだすため、ともにがんばりましょう」と呼びかけました。

贈呈式でのテープカット

贈呈式でのテープカット

贈呈式であいさつする山下委員長

贈呈式であいさつする山下委員長

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