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更新日:2017年1月20日
10年たっても元気やでプロジェクト(元気やでプロジェクト)は、4日、地域医療と介護を考える集いの第2弾となるフィールドワークをATCエイジレスセンター(大阪市)で開いた。参加は63人。講演では、大阪経済大学の森教授が地域での買い物・交通困難者への支援について説明しました。買い物弱者を応援することは非常に大事と前置きし「買い物を通じて、社会的つながりを意識し維持することができる。そして、人との交流もできる貴重な機会だ」と強調しました。また参加者は、同センターで車いす体験や高齢者疑似体験などを行った。車いすを体験した参加者は「たった2㎝の段差でも乗り越えるのがとてもこわかった」と話しました。
生活するうえで必要不可欠なことといえば買い物です。自宅から500m以内に生鮮食品店がなく、自家用車を所有していない65歳以上の高齢者が増えています。地域の生活インフラをめぐる課題の解決は急務となっています。コミュニティバスやデマンドタクシーをはじめとする交通困難者対策が打たれていますが、それだけでは解決できません。解決にむけては、自治体だけの支援には限界があります。森教授は「どのように支えるのか、地域全体で考える必要がある」と述べました。経済産業省がとったアンケートでも地域の不便な点として「日常の買い物」と答えた割合が年々高くなってきています。今後、買い物困難者・交通困難者への対策が特に必要となります。
「衰えというものは必ずやってくる。介護が必要な人だけの問題ではない」。現在の高齢者は、1980年に比べ11歳ほど生理的に若くなったとの研究発表があります。しかし、元気に高齢期を迎えてもやはりサポートは必要となります。「サポートが充実しているというと現実はそうでもない」と森教授は語ります。
高齢者が元気に暮らすには、その人がその人らしい生活をするサポートが大事です。そのためには、生活全般のフォローが重要となります。買い物は、歩き、考え、会話をするなど社会のつながりを感じることのできる貴重な機会です。買い物ができない環境が続くと、健康問題をはじめ、ひきこもりや認知症の悪化など生活に支障をきたす結果を招くことになります。
買い物困難者の増加背景としては、人口減少と少子高齢化による店舗閉鎖が挙げられています。買い物困難者は、地方部だけの問題ではなく都市部でも起きています。大阪市内でも地元に根付いていた小規模スーパーが閉店し、店まで少し距離のある地域も出てきています。閉店した背景には、家族連れの購買層が少なくなったことが原因とされています。お年寄りの規模だけでは店側の利益があがらないという深刻な問題も浮上しています。
府内自治体では、買い物弱者支援制度を設けているところもあります。また、地域包括支援センターと町会が連携し、食品や日用品の販売をするという例もあります。そのほかにも地元のボランティア団体や大学、福祉関係者などで協力の動きを見せています。
今後ますます高齢化の割合は増えてきます。森教授は一連の介護の課題について「必要な人だけではなく、必要のない人も充実した生活ができるよう取り組む必要がある」と述べました。