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更新日:2016年10月25日

第17回大阪地方自治研集会
無駄が許容されない時代に
だれもが孤立しない「新しい広場」を

 自治労大阪府本部は、9月27日、エル大阪で第17回大阪地方自治研究集会(参加590人)を開き、記念講演に劇作家・演出家の平田オリザさんを招きました。平田さんは、地方ほど無駄が許容されない時代になったと指摘しました。また、利便性を追求するあまり失ったものも多いと強調しました。そして、だれもが孤立しないゆるやかな共同体を形成する「新しい広場をつくる必要がある」と強く訴えました。

独特の語り口調で聴衆を魅了する平田オリザさん

独特の語り口調で聴衆を魅了する平田オリザさん

 大阪では、橋下前大阪市長が無形文化遺産に登録されている「文楽」に対する補助金を打ち切りました。平田さんは「文楽は世界から預かっているもの」と語ります。また、「世界遺産を預かっているのだからしっかりと利子を払わないといけない」と述べました。芸術や芸能はコミュニティ形成や維持のための役割を持っていると語ります。東日本大震災の復興事業でも、祭りの開催により住民が高台移転に合意したという逸話もあります。

 平田さんは、日本は文化に対する意識がとても低いと指摘しました。世界では、タリバン勢力がバーミヤーン遺跡を破壊しました。「あれは急激な文化破壊だ」と平田さんは述べました。そして、現在の日本では、次世代に文化を受け継ぐことを重要視していません。この状況を「緩慢な文化破壊だ」と述べました。

 観光学では、1970年の万博の成功体験により、大規模集客に頼る都市政策の呪縛から抜け出すことのできない「大阪病」があると指摘しています。平田さんは、大阪には宝物がたくさんあり、貴重な資源を活かし切れてないと語ります。「カジノや場当たり的なものでは、絶対に失敗する」と述べ、大阪で進められている計画に対し疑問を示しました。

第17回大阪地方自治研究集会
集会のあり方抜本的に見直す
議論し改めて提案したいと基調で示す

 府本部は、27日開かれた「大阪地方自治研究集会」(以下、自治研集会)で自治研集会のあり方を抜本的に見直すとの方向性を示しました。集会基調を提案した髙木府本部副委員長は「全体会での平田オリザさんの講演を手掛かりに、早急に分科会の設置のあり方、開催の具体的な日程などについて自治研推進委員会で議論を行い、改めて提案したい」と述べました。

 府本部は、これまで2年に一度、大阪自治研集会を開いてきました。自治研集会は「全体会」と「分科会」で構成し、分科会は約半年間の準備期間を経て、テーマごとに開きます。その意味ではそれぞれの分科会は規模こそ小さくとも、単組・職場での実践に裏付けられたものです。また、参加者の思いのこもったものでした。

 実践報告や検証・共有化は、市民の立場に立った仕事の改革やその実現にむけた労使協議・交渉での補強となる貴重な取り組みです。しかし、そうした取り組みのフィールドそのものが浸食され、狭められつつある状況になっています。そのため組合員は、先に素描した状況の厳しさから、徒労感を募らせつつあり、自治研活動は停滞しつつあります。この傾向は、今年に実施した組合員自治研活動に対する意識調査からは、如実に読み取れる状況です。府本部は、自治研活動の危機は、とりもなおさず公共サービスの危機と分析しています。

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