HOME > 府本部の取り組み > 大阪市組合事務所退去事件:高裁 12年度のみ「違法」と判断/黒田書記長「団結権を軽視した不当な判断」
更新日:2015年6月12日
橋下大阪市長による、大阪市労連(以下、市労連)傘下の組合事務所の一方的な退去命令処分の違法性が争われた訴訟をめぐり、大阪高裁(二審)は、2日、2012年度の事務所不許可を違法と判断。市労連各単組に対し損害賠償を支払うように命じました。しかし高裁は、大阪市労使関係条例12条(便宜供与の禁止)および組織改編に伴うスペース不足を理由として、13〜14年度不許可処分を適法と判断しました。判決を受け、黒田市労連書記長は会見で、「違法性が認められたことは一定の評価」と述べましたが、13〜14年度の市側の対応が適法だと判断が下されたことに対し「団結権を軽視し、不当と言わざるを得ない」と強く訴えました。
事務所退去をめぐる裁判で一審では、橋下市長に職員の団結権を侵害する意図があり、裁量権の乱用で違法と判断。しかし二審では、市側から組合に対する便宜供与を禁止する労使関係条例12条と労働組合法の「使用者の経費援助の禁止」の双方が同趣旨の内容として認定しています。二審判決では以上を理由として団結権の侵害には当たらないと判断しています。日本の労使関係では、労働組合事務所提供は広く定着しており、正当な理由のない退去要求が違法となることは、数多くの判例及び労働委員会命令において確立しています。過去の判例から照らし合わせてみても、二審は非常に厳しい内容となっています。
橋下市長は、2011年12月の市長就任直後、組合事務所使用料を増額すると公言、しかし、組合事務所を本庁舎から退去させると態度を一転しました。これを受けて大阪市は一方的に退去を通告し、2012年4月以降の組合事務所使用許可申請を却下しました。市労連は、市側に対し、団体交渉を求め、市当局はこれを拒否。市側は、大阪府市統合の事務スペースの確保のため必要と説明。本訴でも、大阪市は、本庁舎のスペース不足が不許可の理由であると一貫して主張。しかし、これは後日のいいわけであり、一審ではこの理由を一蹴しています。
府本部および市労連は、組合事務所退去要求について、労働委員会に続き、大阪地裁・高裁でも、大阪市の違法行為が認定されたことを市側は重く受けとめ、大阪市当局は速やかに労働組合に対する姿勢を改め、正常な労使関係を回復することを求める声明を発表しました。