HOME > 府本部の取り組み > 「特別区設置協定書」否決される/自治労大阪府本部 断念求める見解示す
更新日:2014年10月31日
10月27日、大阪府議会および大阪市会で「特別区設置協定書」の議決が行われ、両議会とも、反対多数で否決されました。この議決を受けて自治労大阪府本部執行委員会は同日、両議会の良識ある判断に賛意を表明するとともに、松井知事、橋下市長が専決処分の行使など、これ以上の民主主義を否定する行為を行わず、大阪「都」構想を断念するよう求める「見解」を公表しました。
橋下・大阪維新の会は、27日の大阪府議会、大阪市会で「特別区設置協定書」が否決されたものの、協定書の再提出や専決権の行使、住民投票を求める住民投票を行う条例の提出やこれに向けた請願運動の実施など、強引な手法を引き続きとることに言及しており、大阪「都」構想をめぐる動きは、未だ予断を許さない情勢にあります。府本部は、引き続き、橋下・大阪維新の会の動向を注視しつつ、油断せず取り組みを強めていく必要があります。
いわゆる大阪「都」構想は、大阪市及び堺市を含む近隣市を人口30万人程度の特別区に再編する制度改革案として、大阪維新の会の橋下代表が知事時代に打ち出したものですが、当初から具体的な内容が不明確で、その効果が疑問視されてきました。年間4000億円の財政効果があるとしていたものが、昨年8月の法定協議会に示されたいわゆる「パッケージ案」では、800億円程度にとどまるとともに、その大半が「大阪都構想」とは無関係の市政改革によるものであることが明らかとなり、最終的には純粋な効果は約1億円程度と、その羊頭狗肉ぶりが多くの批判を生みました。
このため「大阪都構想」は周辺自治体や市民の支持を得られず、2013年9月の堺市長選挙で、「反大阪都」を掲げた竹山市長が当選。その後の豊中市長選挙では大阪維新の会は候補者擁立すらできませんでした。このため、「大阪都構想」は大阪市の廃止と特別区への分割のみを目的とするものに変質、矮小化を余儀なくされました。
「大阪都構想」実現に固執する橋下市長、松井知事、大阪維新の会は、1月の法定協議会で、突然、1区あたりの人口規模が政令市並みの50万人規模となる5区案に絞り込むことを提案。協議会の反対にあうと、橋下市長は突然市長を辞職。3月23日執行された市長選挙は史上最低の投票率と最高の無効投票数を記録し、「大義なき」出直し市長選挙の批判を受けました。
その後、市長選挙とは無関係の、唯一大阪維新の会が過半数を占める府議会の議会運営委員会での法定協議会委員の野党会派委員の排除と維新の会による委員の独占を強行。大阪市会が委員の派遣を拒否する中、維新単独で法定協議会を強行開催し、地方自治のルールをふみにじる強引な手法で、7月23日に「協定書案」を取りまとめました。その間、過半数を超える府議会議員からの議会開会要請を松井知事は拒否。にもかかわらず議長が招集した府議会で法定協正常化にむけた委員推薦手続きに関する条例を再議権まで行使して否決するなど、およそ議会制民主主義をふまえない暴挙が繰り返されました。
一方、9月2日に新藤総務大臣(当時)が、「協定書案」に対して「特段の意見はない」とする意見を表明したことを「総務省のお墨付きを得た」と宣伝しましたが、大阪府市側が国の意向をすべて受け入れた結果、特別区設置法で言う「政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要」がなかったことを示すのみであり、決して「お墨付きを与えた(正当なものとして評価した)」ものではありません。むしろ地方自治法25条による技術的助言として「法令を順守し、関係者間での真摯な議論に努めてほしい」と付言したことに事態に対する総務大臣としての危惧の念を見るべきです。