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2009年6月4日
2009年4月25日から29日にかけて、自治労大阪は「緑の地球ネットワーク(GEN)」の協力のもと、砂漠化が進む中国・黄土高原に緑を取り戻す活動の一環として「第4期 黄土高原緑化事業」に取り組みました。
緑化事業の目的は、大同市の農村に果樹園を作って、環境改善すると同時に、困窮している農村の経済的な自立をめざしています。
緑化事業には、26人の有志が参加して中国の山西省大同市で植林しました。また、GENが運営する苗を育てる施設「白登苗圃(はくとびょうぼ)」では、食料が乏しい冬にウサギがアンズの幹をかじってダメにしてしまうのを防ぐために巻きつけてあった布を取り除く作業などを体験しました。そして、自治労大阪が協力している「かけはしの森」(中国名:チャオリャンリン)で、4年前に中国を訪ねた第1期黄土高原緑化事業団が植えたアブラ松の成長を見学しました。
この旅で参加者は、砂漠化を防ぎ、緑を取り戻すことの大切さや難しさを肌で感じました。
黄土高原緑化事業は、その活動を5カ年計画で進めてきました。
自治労大阪は、中間的な評価もしながら、5ヵ年計画としては最終年となる2010年の取り組みに臨みます。そして、緑化事業など国際支援の大切さを考慮しながら、これまでの活動を評価して今後の国際協力活動のあり方などについて協議・決定したいと考えています。
「中国の大地は広大ですが、農耕できる土地は少ないんです」と現地をガイドしてくれた耿(コウ)さんは話してくれました。
大同市の標高は1,000メートルあります。年間降雨量は400mlで、雨が少ない年には200mlしかありません。そして、そのほとんどは夏ごろに降るそうです。日本で言う「ゲリラ豪雨」のように1時間で70mlもの雨が降ったこともあり、これは年間降雨量の5分の1に当たります。この雨が「水土流失」(※1)という現象を招き砂漠化を加速しています。
さらに、大同市は気温の変化も激しく、1月の平均気温はマイナス11℃、7月には21℃にもなります。
現地では「春の雨は油より貴重」と言われており、農業はもちろん緑化を進めるために大事な5月には雨がまったく降りません。植物を育てるには、とても厳しい環境です。
緑化事業団は、山西省大同市にある山嶺村(さんれいそん)で現地の子どもたちと一緒に植樹し、GENの苗実験施設「白登苗圃(はくとびょうぼ)」や「環境林センター」では、黄土高原緑化活動の一部を実際に体験しました。
大同市にある山嶺村では、現地の子どもたちと一緒に植樹をしました。
お昼には、農家で昼食をいただきましたが、とても豪華なものでした。
農業に詳しいある参加者は、食卓に並ぶトマトとイチゴを見て「中国のこの気候で、しかもこの時期にはイチゴやトマトなどは普通に食べられるものじゃない。自分たちはすごく大事にされているんだ」と感激しました。
実際にお祭りやお祝いなどでも、これほどの料理が食卓に並ぶことはないということです。こうしたことからも現地の人たちが、どれほど困窮しているのか、また深く感謝してくれているのかを知ることができました。
白登苗圃では、植樹するための穴を掘ったり、水路を作ったりしました。そして、アンズの木をウサギの害から守るために巻いてあった古い布(GENスタッフの古着などを裂いて作ったもの)を取り除く作業も体験しました。
古い布を取り除く作業について現地スタッフは「冬に緑がなくなり、食べるものなくなったウサギが、アンズの幹をかじってダメにするのを防ぐため、冬に布を巻いて保護して春には取り除くんです」と説明してくれました。
参加者は、容赦なく太陽が照りつけるなか、一生懸命に白登苗圃で緑化作業に取り組み、汗を流しました。
環境林センターでは、根が詰まって成長が阻害されそうな松の木を植え替えたり、GENのこれまでの活動について研修したりしました。
参加者は大粒の汗を流しながら、松の木を植え替えるための穴を掘り、掘り起こした大きな松の木を抱えて運び植え替えをしました。
来年、2010年は5カ年計画としては、最後の取り組みになります。
今後の黄土高原緑化事業―国際協力活動のあり方については、緑化事業など国際支援の大切さを考慮しながら、これまでの活動を評価して決定したいと考えています。
自治労大阪は、こうしたことを踏まえながら、残る中国・黄土高原緑化事業に臨みます。