HOME > 府本部の取り組み > 自治労大阪連続学習会「後期高齢者医療制度」
更新日:2008年4月14日
2008年4月2日(水)、自治労大阪は2008年4月から実施された後期高齢者医療制度(※1)について学習会を行いました。講師には医学博士、理学療法士でもある長野聖大阪府議会議員【堺市・南区】をお招きしました。
長野さんは、まず日本の医療制度がどのような歴史を経てきたのか、年代ごとの特徴を明らかにして、制度の移り変わりを説明しました。次に、なぜ日本の高齢化とともに後期高齢者医療制度(※1)が作られなければならなかったのか、その理由に触れました。そして、2000年代からは国民の医療に対する権利と義務が明確化されてきたこと、医療費の個人負担額が拡大していることなどを明らかにしました。
後期高齢者医療制度では、保険料が都道府県ごとに設定され、均等割額と所得割率を合わせた金額となります。保険料は全国平均で月額が6,000円程度で、介護保険料と合わせると月額10,000円を越えます。
徴収方法は、年金が月額15,000円以上の人は、2ヵ月ごとに介護保険料と合わせて、年金から「天引き」されます。年金額が、月額15,000円未満の場合は、現金で収めることになります。
後期高齢者医療制度は、既存の健康保険から高齢者医療を切り離し、サイフを別にすることで高齢者の総医療費を明確にしようとしています。また高齢者の診療報酬に「包括定額制」を取り入れ、主治医制を導入して検査・注射・投薬など、すべてを含めた診療報酬を月額6,000円までとすることが検討されています。
後期高齢者の病気の特性としては、次のような点があげられます。
つまり、後期高齢者が何らかの病気にかかると、別の病気も併発してしまうことが多く、月額6,000円程度では、医療費が足りなくなります。
この制度は、高齢者医療の現実よりも財政主導として進められてきたもので、医療費適正化が目的とされていますが、ほかにも保険料の地域格差の問題や保険料滞納者への保険証取り上げなどの問題が指摘されています。
最後に長野さんは、日本の医療制度の現状を世界の医療制度と比較して話してくれました。(※下記を参照)
そして「医療の問題は、一人ひとりがどのようなものを求めるかを明確に持つことが必要です。それを政治に投げかけてください。」と力強く結び、講演を終了しました。
医療保険における企業負担保険料率を先進国で比較するとフランス12.8%、スウェーデン11.8%、ドイツ6.6%に対し、日本は4.1%と低く、社会保障給付額と公共事業費の支出割合の比較でも、公共事業費が社会保障給付額よりも高いのは日本だけという状況です。