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大飯原発の再稼働に関する自治労声明

1. 政府は6月16日、福井県の大飯原発3号および4号機の再稼働を決定した。福島第1原発の事故原因の究明に基づく安全対策もきわめて不十分な状態での再稼動決定であり、稼動年数の上限設定や原発を減らしていくためのロードマップなどの「脱・原発依存」の具体的な道筋も示されておらず、自治労としては到底容認できない。

2. 自治労は、原発の再稼働について、この間、連合のエネルギー総点検・見直しPTへの意見反映において、「原発以外の供給施設で需要に対応できない場合であっても、次の5条件をクリアしない限り、原発の再稼働は認めない」との厳格な条件を示してきた。また、協力国会議員を通じ、政府・民主党に対しても、再稼働には慎重な対応を求めてきた。

ア)   原子力安全・保安院の経済産業省からの分離やチェック体制の強化など、国による安全規制体制の強化。

イ)   国による各原発周辺の活断層調査等と調査に基づく地震リスクに対する新たな基準の設定。

ウ)   福島第1原発事故の原因究明に基づく新たな安全基準の設定と新基準による各原子炉の安全対策の実施。

エ)   福島第1原発事故の避難範囲を踏まえた新たな原子力防災指針に基づく、各自治体での原子力防災計画の作成と実施、および少なくとも緊急時防護措置準備区域(UPZ)に指定される自治体からの再稼動に向けての事前了解。

オ)   福島第1原発事故をふまえた損害賠償額の大幅な引き上げ。現行1200億円の損害賠償保険の大幅な引き上げ。

3. この自治労の再稼働に関する基本的な考え方に照らしてみても、今回の政府決定は、以下の点で問題があると言わざるを得ない。

① 政府は、原子力安全・保安院がまとめた非常用電源の配備などの30項目をもとに安全対策をまとめたとしているが、免震棟の建設やベントの設置、防潮堤のかさ上げなどは中長期的な対策として、再稼動の前提から外されており、福島第1原発の事故を踏まえれば、きわめて不十分な対策であること。

② 今回の再稼働が、経済産業省から独立した原子力規制庁も未だ発足していない段階の判断であり、最低でも、新しい原子力規制庁を発足させ、事故の根本原因に基づいた新しい安全基準を設定し、その基準をすべての原発に適用する必要があったこと。

③ 原子力防災についても、新たにUPZを指定し、防災計画を作成する予定であるが未だ実施されておらず、重大事故が発生した場合の住民の避難についても何ら決められていないこと。

④  電力の需給見通しに関しても、政府の「エネルギー・環境会議」は5月18日に、原発の再稼働なしの前提で、広域的な電力の融通や節電によって今夏を乗り切る電力需給対策をまとめており、強制的な電力使用制限令の発動は避けている。また、民間の研究機関である環境エネルギー政策研究所の試算などでも、自家発電の追加や他電力会社からの融通などで、今夏の電力需要には対応できるとされている。政府は当初から「再稼働ありき」の立場にあり、「電力不足」を根拠とした再稼働の推進は問題のすり替えであること。

⑤ 与党である民主党内にも「再稼動に慎重な対応を求める署名」に120人以上の国会議員が賛同しているなど、再稼動に慎重な意見が多くあり、各種の世論調査でも、再稼動に反対する意見が多数を占めている状況を、政府は尊重する必要があること。

4. いずれにしても、自治労としては今後も引き続き、原発の再稼動に歯止めをかけ、同時に、政府・与党に対して、脱原発を基本とする新たなエネルギー政策の策定を求めていく立場を堅持する。

 このため、平和フォーラムなどと連携した「7. 16さよなら原発10万人集会」をはじめとした大衆行動を強化するとともに、協力国会議員を通じて、政府・与党への働きかけをより一層強化していく決意である。

以上

2012年6月19日

全日本自治団体労働組合

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