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更新日:2009年11月16日

消防職員の団結権獲得へ前進
 -自治労と総務省が定例協議
自治労大阪は11月17日に団結権問題で「消防セミナー」を開催

 10月28日(水)、自治労と総務大臣との間で消防職員に関する定例協議が行われました。定例協議で自治労徳永委員長より、ILO理事会がたびたび勧告している消防職員の団結権問題についての解決を要望しました。

原口総務大臣に要求書を手交

原口総務大臣に要求書を手交

 これに対し、原口総務大臣は「ILOから勧告が何度も出ている状況を放置するのかということで検討の指示をしたところ。消防職員の団結権のあり方については、国民の理解のもと、関係者の意見も聞きながら積極的に前へ進めていく課題だと認識している」と回答しました。これを受け、徳永委員長が「消防職員の団結権問題について、総務大臣から前向きなお話を聞かせていただいたことに感謝する。また消防に限らず、地方行財政や公務員制度など、総務省とはいろいろと意見交換をしていきたい」と述べ、原口大臣より「『当事者無くして決定なし』ということをしっかりふまえてまいりたい。実務者の協議についても指示をしていきたい」との回答を受け、この日の定例協議を終わりました。

徳永委員長より消防職員の団結権問題について回答を求める

徳永委員長より消防職員の団結権問題
について回答を求める

回答を述べる原口総務大臣

回答を述べる原口総務大臣


 この定例協議は1995年に自治労と当時の自治省自治大臣との間で消防職員の団結権付与をめぐってはじめられた協議です。現在の消防職員委員会を制度化したのも団結権獲得にむけた過渡的な措置として当時の自治大臣と自治労・全消協との間で確立させてきたものです。しかし、それ以降は団結権獲得にむけた動きはなく、それどころか当時の政権は消防職員委員会があるのだからそれを活用させればいいとして、ILO理事会から勧告をされても、国内事情を理由に無視し続けてきました。しかし今回の定例協議は、公務員の労働基本権を確立するというマニフェストを掲げた民主党を中心とする新政権になって初めての協議であり、今までの「消防職員委員会があるからそれでいい」、つまり「団結権は認めない」ということから、大きく前進したものといえます。

 消防職員の団結権獲得にむけて、これまでにない大きなチャンスが到来しました。自治労大阪は、こうした情勢を受け、11月17日(火)午後1時30分から大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)で「消防職員と団結権問題」をテーマに消防セミナーを開催します。消防職員の方のご来場をお待ちしております。

2010年度消防セミナー

日時:2010年11月17日(火)午後1時30分~5時

場所:大阪府立男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)

参加費:無料

※全消協とは
全消協(全国消防職員協議会)は、全国の消防職員が民主的で働きやすい職場環境を自らにおいてつくり出すため、1977年8月に結成されました。現在は183組織約13,000人が加入しています。大阪では四消研(四條畷市消防行政研究会)と交消協(交野市消防職員協議会)の約70人が加盟しています。
 全消協の目的は、全国の消防職員との情報の共有化につとめ、職場での問題点などについて先進的な事例等に学ぶものとし、自治労とも連携し全国レベルでの意見交換や総務省消防庁との意見交換などがされています。
 また、全消協活動は違法性があるのではないかと懸念されていますが、このことは地公法52条5項である勤務条件の維持改善をはかる事を目的とし、かつ、当局との交渉する団体を結成することが禁止されている「団結権の禁止」に抵触するためとされていますが、労働条件の維持改善を目的としても当局と交渉しない「協議」する団体を組織することは禁止されていません。
※消防職員の団結権問題と消防職員委員会
 自治労はこれまで、消防職員の団結権をめぐる問題は憲法における基本的人権の問題として取り組みを進めてきました。しかし日本政府はILO87号条約(結社の自由および団結権の保護に関する条約)に批准したにもかかわらず、未だに消防職員の団結権を認めていません。これはILO加盟国で日本だけです。こうした日本政府に対しILOは再三にわたり勧告を行いましたが、日本政府は法改正を含めた基本的解決の姿勢を見せていません。
 こうしたなかで自治労は1995年に当時の自治省との間で消防職員に対する団結権の過渡的措置として、消防職員委員会を翌1996年10月に発足させました。
 しかし、この制度の最大の欠陥は委員会により「実施すべき」と結論づけされた職員提案事項に対し、それを実施すべき立場にある消防長に履行責任を負わせていない点にあります。総務省消防庁が実施した消防職員委員会の実態調査でも予算措置に伴うものについて改善事例の実績はわずかであることから、この委員会制度は職場改善の手段としては不十分であり、全消協は自治労とともに制度の改善と団結権の保障にむけた活動を進めています。
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